オートフォーカスの効かないマニュアルレンズのうち、一部のレンズには金属製の端子のような「電子接点(でんしせってん)」が付いています。
電子接点があるとカメラとレンズが相互に通信できて、いろいろ良いことが起こりそうな気がするけど…正直何ができるかよくわからない!
電子接点ありのマニュアルレンズと電子接点なしのマニュアルレンズ、撮影時にどんなことができて、どんなことができないのか、実機で確認してみました。
この記事の目次
電子接点があるとできること
というわけで検証結果。試した組み合わせはカメラがNIKON Z6、マウントアダプターがNIKON FTZ、マニュアルレンズがSAMYANG XP14mm F2.4です。
結論としてオートフォーカスが効かないこと以外、メーカー純正レンズと遜色なく使えています。サムヤンは結構優秀(リバースエンジニアリングが得意)なようです。
モニターに絞り値が表示される
電子接点があると、電子ファインダーや背面液晶モニターに「絞り値」が表示されます。今回は絞りリングがないレンズのため、絞り値の設定はカメラ側から行ったものです。
ちなみに電子接点と絞りリングの両方があるSAMYANG 24mm F1.4だと、絞りリングを最小絞りF22に固定しないとエラー画面が表示されていました。
EXIFに焦点距離や絞り値が記録される
電子接点付きレンズはEXIF情報にも絞り値が記録されます。Lightroomで確認すると、撮影時のF値だけでなく、レンズの焦点距離や開放F値も記録されていました。
レンズ情報が残っているとレンズプロファイルを適用して周辺減光や歪曲収差を簡単に補正でき、あとから写真を探すときもEXIF情報が検索条件に使えてかなり便利です。
Sモード・Pモードが使える
絞り値を制御できるということは、シャッタースピード優先(Sモード)やプログラムオート(Pモード)だけでなく、フルオート(AUTOモード)も使えるということです。
ホワイトバランスやピクチャーコントロールも普通に動作します。焦点距離がカメラに伝わっているのでISO感度オートの低速限界設定も想定通りの動きをしています。
フォーカスエイドが使える
電子接点付きのレンズだとピントリング(フォーカスリング)を回す方向を教えてくれる「フォーカスエイド」も動作しました。素早いピント合わせにとても便利な機能です。
画面左下に右三角(リングを右に回せ)・丸(ピント合ってる)・左三角(リングを左に回せ)が表示されます。ピントが合うとフォーカスポイントも緑枠になります。
電子接点がなくてもできること
電子接点なしのレンズでも動く機能はあります。以下の実験例はカメラがNIKON Z6、マウントアダプターがNIKON FTZ、マニュアルレンズがSAMYANG 85mm T1.5です。
フォーカスピーキングが使える
画面左下のフォーカスエイドは動いていませんが、ピントが合っている箇所に色を付ける「フォーカスピーキング」は機能します。上の画像だと青色に設定しています。
なお画面左に85mmと表示されているのは、レンズから取得した焦点距離ではなく、カメラ本体の「レンズ情報手動設定」から事前に登録したものです。
別売のマウントアダプターを使用して装着する非CPUレンズの情報を登録します。非CPUレンズの焦点距離と開放絞り値をカメラに登録することにより、手ブレ補正機能(ボディ手ブレ補正)などカメラの一部の機能が使えるようになります。
Aモード・Mモードは使える
大抵の電子接点なしレンズには絞りリングがあります。電子接点がないとカメラと通信できないので、背面液晶には絞り値が表示されず、ハイフンになっています。
電子接点なしのレンズをつけたままフルオートに切り替えると、エラーメッセージが表示されました。Aモード(絞り優先)とMモード(マニュアル)のみ使用できます。
まとめ
NIKON Z6とNIKON FTZを用いて検証しただけの結果ではありますが、電子接点付きのマニュアルレンズなら、ほとんどの機能が実現されることがわかりました。
なお、電子接点付きレンズで何ができるかは、レンズ内CPUの出来に大きく左右されますのでご注意ください。以下表にできること・できないことをまとめました。
Z6 + FTZ | 主なできること | 主なできないこと |
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電子接点あり |
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電子接点なし |
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