被写体に近づきクローズアップして撮影可能なマクロレンズ。焦点距離50mmの標準単焦点レンズとして使えるなら、無限遠にある星を撮れてもおかしくないのでは?
そんな素朴な疑問から、ニコンZマウントのマイクロレンズ「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」で星空を撮ってみました。撮影場所は伊豆半島の天城高原駐車場です。
絶対に真似してはいけない撮影方法「カメラをしばらく置きっぱなしにして別の場所に出かける大作戦」を決行。今回は紛失せずに済んだものの内心ヒヤヒヤでした。
この記事の目次
Z MC 50mmで星空撮影
どこまでも寄れる標準レンズとして愛用している「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」。屋外で動植物を撮るだけでなく、室内で料理や小物を撮影するとき重宝しています。
天城高原駐車場(ハイカー専用)
星景写真メインの自分としては50mmは画角が狭すぎて前景を入れにくく、星空撮影で使うのは初めてかも。前景のない星野写真の作例が超イマイチなのはご容赦を…
なるべく空が暗い場所が良いだろうと考え、天体観測地として有名な天城高原をチョイス。標高は約1,000m、天城高原ゴルフコースのすぐ近くの無料駐車場が撮影地です。
絶対に真似してはいけない星空撮影
午前2時過ぎのだるま山高原レストハウス到着時、駐車場にクルマは1台もなく、展望台にも人の気配なし。駿河湾越しの富士山と星空を試し撮りしつつ、しばし思案。
このままカメラを放置してインターバル撮影しながら、別の場所に撮影しに行っても良いのでは?天城高原まで片道約1時間、現地での撮影込みで往復2時間半か…
ほぼ貸切状態の天城高原駐車場
最悪盗まれたり壊れたりしても自己責任ということで、他の方の邪魔にならない場所に三脚をしっかり固定。天城高原に到着したのは3時20分(天文薄明は4時12分)。
まだ撮影可能な時間ですが、天体望遠鏡を構えている方は一人も見当たらず。トイレのある上段にはクルマなし、下段には登山されるであろう方が数名宿泊中でした。
三日月の激しい明るさに大苦戦
出典:アストロガイドブラウザ2021
3時半時点で月が上がっており、撮影条件としては厳しく感じました。4時過ぎには出発したいので撮影時間は最大30分、月の明るさがどんな感じか南東の空を撮影。
事前にアストロガイドブラウザで調べていたのが1枚目、実際に撮ったのが2枚目。三日月の明るさが尋常ではなく、そりゃ天体観測している人がいないわけだ…
ただ、台風通過直後で空気が澄んでいるのか、はたまた光害の影響が少ないのか、ベテルギウスやオリオン大星雲の色はいつもよりしっかり出ているような気もします。
MC50mmで冬の大三角を撮る
さて本題。マイクロレンズ「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」で撮ってみました。50mmの画角は冬の大三角(ベテルギウス、シリウス、プロキオン)がギリギリ収まりますね。
天城高原では時間の関係で全て1枚撮り。マクロレンズで星を撮るのも意外と悪くないと感じました。ブログに載せると画像が圧縮されてしまうため、うまく伝わらないかも。
マクロレンズの無限遠は悪くない
拡大しやすいFlickrにも載せてみました。絞ると少し光芒が出て、クロスフィルターを付けたようになって面白いですね。対角魚眼と超広角の開放ばかり使っているから新鮮。
星の流れが目立ちにくい「200ルール」に従うと、固定撮影だと4秒露光が限界。4秒はさすがに厳しいため、Leofoto LS-323Cとポラリエで1分ほど追尾しています。
追尾精度が不十分なのは極軸望遠鏡を使わずに覗き穴でサクッと北極星を導入したから(つまり自分のせい)。もっと丁寧にやりたかったけど、時間なさすぎたorz
マクロとブラックミストで星空撮影
最後にソフトフィルター「ブラックミストNo.5」をレンズ先端に付けてオリオン座を撮り比べてみました。プロソフトン系とは印象が異なる滲み方をしているような。
くっきりマクロとふんわりブラックミスト、本来は真逆な方向性。しかも無限遠。実用的な組み合わせとは言い難いですが、たまには面白い実験ができたかなと。
片付けを済ませ4時15分に天城高原駐車場を出発し、ドキドキしながら5時15分にだるま山高原レストハウスに戻ってくると、運良くカメラは無事でした。
まとめ
- 星を撮れなくはないがレンズが暗いため追尾撮影が必要不可欠
- 星景写真に使うには狭いが星座をピッタリ収めるには悪くない
- 非点収差やコマ収差、像面湾曲などは特段感じなかった
星のピント合わせについては、Z MC 50mmもAFモードに切り替えて無限遠のまま固定する方法で毎度ピントを合わせることなく使えました。ご参考になれば幸いです。