昨今のキャンプブームで、全国各地にグランピング施設の開業が相次いでいます。新たなキャンプの形態として、グランピングの知名度が高まってきている感があります。
ネットニュースで新規オープンの情報が流れるたび気になることが1つ。最近できた施設はどこもかしこも同じ半球状のドームテントを使っている気がしませんか?
この記事の目次
グランピング施設のテント
2022年6月上旬にトラベルWatchで「グランピング」と検索すると、上から順に以下4つの記事が見つかりました。いずれの写真も同じテントが使われている気がします。
- 南房総エリア「シーサイドテラス千葉鴨川」で、海山絶景のグランピング体験してきました!
- 全棟天然温泉付きグランピング施設「グランシア別府鉄輪」4月27日開業。地獄蒸し体験も楽しめる
- 大阪湾を望むグランピング場「SKY DOME阪南」3月19日開業。国内最大級ドームやペット可ドームなど12棟
- 西伊豆にプライベートバス付きグランピング「天空テラス」開業。崖に建つテントとテラス
半球状のドームテントがブーム?
運営者もコンセプトも都道府県もバラバラなのに、なぜか同じテントが使われている。2021年以降に開業したグランピング施設の7割以上が同じテントな気がします。
この半球状のドームテント、先日滞在した那須ハミルの森でも使われており、その居住空間の広さと開放感がとても素晴らしいと利用者側の立場で感じました。
コットンのベルテントは今や少数派
グランピングが世に広まり始めた2010年代から興味をもっていた方は、グランピングといえばコットン生地のベルテントをイメージされるのではないでしょうか?
かつてはノルディスクのアスガルドによく似たデザインが主流でしたが、現在はむしろ少数派となっています。キャンプ場でもアスガルドを使う人が徐々に減ってきたような。
使い勝手が原因とは限らない
中央のポールが邪魔だったり、出入口が低かったり、雨に弱かったり、色々と課題があったとは思います。でもそれだけで半球状のテントが軒並み採用されるとは考えにくい。
そこでふと思い出したことがあります。数年前プレオープンにご招待いただいたグランピング施設で、様々な業界の経営者の方々と焚き火を囲んでいた時に伺ったお話を。
海外製ベルテントは常設不可
グランピング施設を開業するにあたり宿泊施設が建築物か否かがポイントとなります。そもそもグランピングは旅館業法の対象で、その許認可の過程で宿泊施設の確認があります。
建築基準法で定義された建築物(常設)は、強度や耐火性など証明すべきことが多岐に渡り、海外製のベルテントを建築基準法に適合させるのは事実上不可能ですよね。
そこで建築基準法の対象外の宿泊施設と整理するには、いつでも解体して取り外せる(土地に定着していない一時的なもの)ことを証明する必要があったとのこと。
常設できる国産ドームテントの登場
出典:NEXT GLAMP
海外製のベルテントが建築基準法に適合できず、建築確認申請が通らず常設不可だったのですが、国産の画期的なテントが開発されたことで近年爆発的に広まりました。
構造計算を行い、日本全国各地域の基準風速、垂直積雪量をクリアし、建築基準法や消防法に適応した国内唯一のドームテントです。全て国内製造で、海外製と比較すると3〜5倍の耐久性を誇ります。
メーカー自ら「建築基準法や消防法に適合させ、海外製と比べ数倍の耐久性がある」と謳っており、グランピング施設のオーナーが飛びつきたくなる気持ちがわかります。
利用者目線では没個性と感じる
私は利用者側なので率直な感想を述べます。こんなこと書くと荒れそうですが、あまりに同じテントが採用された今、グランピング施設は個性がなくなってしまったと感じます。
そもそもグランピングの客層は、多少高いお金を払っても人とは違うユニークなものや普段得られない体験を求める層でもあるかと。今は良くても先々とても心配ですね。
グランピングという形態はいずれ衰退すると思いますが、その理由がコスパが悪いからではなく個性を失ってつまらなくなったから、にならないことを祈っています。
まとめ
出典:NEXT GLAMP
半球状のドーム型グランピングテントが一気に広まったのは、各種法令に適合しており常設可能、しかも耐久性は既存の数倍というオーナー側の理由が大きいようです。
NEXT GLAMPはグランピング全般に関するコンサル業務も行なっています。開業を検討されている方はぜひ相談してみてください。ちなみに私とNEXT GLAMPは無関係です。