オシャレな北欧テントの代表格!ノルディスクのベル型テント「アスガルド12.6」を設営し、3月上旬のキャンプ・アンド・キャビンズ那須高原で寝泊まりしてみました。
シンプルな設営手順、テクニカルコットンの風合い、結露の少なさ、広々とした室内空間など、家族で使うのにちょうど良いサイズ感。大人気なのも納得の作りです。
とはいえ万人にオススメできるテントではなく、ネガティブな印象を受けたデメリットもありました。普段愛用しているリビングシェルとの比較を交えつつ大人気シロクマテントの感想を紹介します。
この記事の目次
アスガルド12.6の初設営
GRAND lodgeで何度かピルツの設営講習を受けたことがあるものの、アスガルドは初めての体験。取扱説明書が見当たらなかったため以下の流れで設営してみました。
- グランドシートを広げる
- フロアを広げて対角線に軽くペグダウン
- フロアと本体をファスナーで連結
- センターポールで立ち上げ
- ガイロープを順番に軽くペグダウン
- 三角ポールでテントの出入口を確保
- ペグ位置やテンションの調整
キャンプ場から割り当てられた区画サイトが思いのほか狭く、ガイロープを地面にペグダウンできなかった箇所は柱や石に括り付けました。
自在金具にもシロクマのロゴがデザインされておりテント本体やガイロープの色合いと相性抜群!テンションを調整しやすい三角自在は好みです。
付属のペグが何本か折れ曲がったため途中から使うのを止めて鍛造ペグ(ソリステ30・エリステ28)やステンレスペグで代用しました。インナーキャビンもあったのですが今回は使いませんでした。
アスガルドのイチオシ!
- オシャレでカワイイ
- 設営手順がシンプル
- 室内は広々空間
- T/C素材の風合いが良い
- 結露が少なく乾燥もしない
オシャレでカワイイ
シロクマが目印!アスガルドの見た目については(個々人の感性が入りますが)自分や家族以外の第三者の評価としてオシャレでカワイイそうです。
場内の様子を見学されていた数名の方が「ああいうオシャレなテントにしたいなあ」とか「アスガルドってカワイイよね」とおっしゃっていました。テントの中で耳をダンボにして聞いてましたw
海外幕だから何でもかんでもオシャレとかカッコいいとか、そういう価値観とは無縁なので評価が難しい…いかにも女性が好きそうなデザインではあります。個人的にはテンティピのほうが男らしくて好きです(^^)
設営手順がシンプル
アスガルドはポールの本数が少ないため設営や撤収の手順がシンプルと言われています。アルフェイムのようにワンポールではありませんが、センターポールとV字ポールだけ。
特にジップインフロアを付けっぱなしにしておくと手間を省け更に簡略化できます。もしフロアを付けずに設営しようとするとペグ位置や立ち上げなどに相応の工夫が必要となります。
他社のワンポールテントと手順に大きな差がなく、慣れてしまえば2ルームテントよりも短時間で設営できるかもしれません。ポールの立ち上げも重くはなく華奢な女性でも問題ないかと思います。
室内は広々空間
アスガルドの室内は見た目の印象よりもずっと広く感じました。アルフェイムとの大きな違いである側面の立ち上がりが空間の広さを際立たせています。ゴロ寝すると天井がとても高く感じられました。
12.6はカップルや夫婦ならスペースに余裕があり、3人家族にジャストなサイズ。4人家族なら一回り大きな19.6のほうが安心感はあります。スノーピークのトルテュとランドロックのサイズ比較に近い印象です。
背の低いドーム型テントと比べアスガルドはセンターポール付近の天井が高く、立ったままの着替えも容易。裸になったときシルエットが透けないよう要注意ですがw
T/C素材の風合いが良い
アスガルドの生地はポリエステルとコットンを混紡したテクニカルコットン(T/C素材、ポリコットン)。テンマクデザインやキャンパルジャパンなど国内メーカーも同様の生地でテントやタープを販売しています。
混紡比率や生地の厚さは各社それぞれ異なりますが、ノルディスクのテクニカルコットンはサラサラしていて触ったときとても気持ちが良いです。クリーム色で清潔感があります。
結露が少なく乾燥もしない
地面が芝生、生地がポリエステル、内外の寒暖差が大きい、空気の逃げ道が少ないなど様々な要素により結露の出方は変わりますが、今回の初体験では結露しませんでした。
涼しい季節は結露の季節でもあり、グラウンドシートの底はしっかり湿っていました。朝起きた直後に側面を触ると少ししっとりしていたのに朝日を浴びて1時間も経たずに乾いてしまったのは驚き!
ポリエステル幕に石油ストーブや薪ストーブをインすると乾燥も気になるのですが、適度に幕内の湿度が保たれていたのか乾燥も気になりませんでした。総じて優れた生地だと思います。
アスガルドのイマイチ!
- フロアの付け外しが面倒くさい
- ペグ打ち本数が多すぎて疲れる
- 付属品を含む重量が重すぎる
- かがんでの出入りで腰を痛める
- 思ったほど短時間で設営できない
- 室内外のレイアウトが難しい
- 濡れたとき撤収がツライ 他
普段使っているスノーピークのシェルター「リビングシェル」と比べながらデメリットを整理しました。色々ネガティブなことを書いていますが経年と慣れの問題で徐々に解消されるであろうものも含まれています。
フロアの付け外しが面倒くさい
アスガルド本体と別売りのジップインフロアを接続するファスナーが頻繁に噛んでしまい、なんだかんだで連結するのに(2人がかりで)10分以上もかかってしまいました。
アスガルドに限らずノルディスク製品全般に言えることかもしれませんが、国内製品では考えられないほど縫製が雑すぎます。以前使ったユドゥン5.5も全く同じ印象です。
個体差があるため一概には言えないものの非常にストレスが溜まりました。10分もあればリビングシェルなら8割くらい完成し既に自立しているタイミングです。
ほつれた糸を切る、フロアの噛みこみやすい部分を切る、ファスナーの滑りを良くするためにロウを塗るなどの対策が必要と感じました。
ユドゥンと比べアスガルド本体の収納袋には余裕があるため、土間スタイルを採用しないのであればフロアはつけっ放しで構わないと思います。濡れたときだけ取り外すイメージです。
ペグ打ち本数が多すぎて疲れる
側面の立ち上がりがあるベルテントの宿命ではあるものの、とにかくペグを打つ本数が多すぎて疲れました。累計100泊以上のテント泊経験で初めて手のひらにマメができ、そして潰れました。
3月上旬の涼しい時期だから良かったものの、20℃を超えるような5月~9月は汗だくになりそうです。特に地面が硬いキャンプ場だとペグ打ち地獄で泣きたくなるかと思います。
普段寝泊まりしているトルテュproで10本、リビングシェルで8本しかペグ打ちしていないため余計に多く感じました。リビシェルならフレームだけで自立するため仮打ちも不要だし、3倍以上もペグを打たないといけないとは…
ところで今回のアスガルド、ネット上で拝見することができる設営解説動画とは少し形状が異なりました。ペグ打ちする箇所にフロアのリング、テンションを調整できるベルト、本体のループの3本があります。
全部を1本のソリステに通してベルトのテンションをかけると、どうもテント側面がキレイにパリッとならず。仕方がないのでループだけ外してさらに外側に別のペグを打ちました。よって使用したペグ本数、合計35本以上orz
いくつかのペグは仮打ちしたあと微調整してから本打ちしたので、なんだかんだで鍛造ペグ50本分に相当するほどひたすらペグ打ちしました。ペグ打ちが多いことで有名なランドステーションを遥かに超越する本数だと思います。
付属品を含む重量が重すぎる
コットン混紡の宿命として重いです。ルーフボックスから積んだり下ろしたり、クルマから離れた場所に設営したり、幕を広げたり畳んだり、キャンプの様々なシーンで重みを感じます。
前述の通りペグ本数が最低25本は必要なので仮にソリステ30で揃えるとペグだけで最低4.5kg。アスガルド本体、ジップインフロア、インナーキャビンとあわせ30kgを超えています。
リビングシェルだと半分以下の重さで済むためルーフボックスに載せていますが、アスガルドをルーフボックスに載せると耐荷重的に他のものが載せられなくなるレベル。
更に困ったことにアスガルド本体の収納袋は長さが110cm以上あるため、ラゲッジスペースの大きなクルマでないと縦にも横にも積めません。現愛車のフォレスターだと荷物の上のほうに横置きしてギリギリ収納できる感じ。
かがんでの出入りで腰を痛める
ただ寝るだけではなくリビングを兼ねるようなテントに腰を曲げながら頻繁に出入りしていると足腰が痛くなります。室内も膝立ちのヨチヨチ歩きが多め。
普段シェルターにコットを4台並べて寝ておりウォークイン・ウォークスルーが多く、靴の脱ぎ履きも必要最小限で済んでいることもあり余計にそう感じました。
草や石が入りこみやすいため出入口にスノコを置くと便利そうです。また出入口のペグだけはパワーペグのような出っ張りの少ないペグのほうが邪魔にならない気がします。
思ったほど短時間で設営できない
残念ながら設営の簡単なテントとは思いませんでした。前述のフロア接続、ペグ打ち多すぎ、広いスペースが必要など、設営の簡単なリビングシェルとは雲泥の差です。
売り文句で「アスガルドは15分で誰でも簡単に設営できます!」と見かけることがあるのですが、それ本当でしょうか?全ての角度から見てシワなくキレイに15分で張るのは相当難しい…15分ではなく25分あればいけるとは思います。
あらかじめジップインフロアを接続済み、ペグ打ちしやすい地面、ガイロープを余裕を持って張れる広いスペース、風がほとんどない、経験豊富、子供の邪魔が入らないなど色々と条件付きな気がします。
室内外のレイアウトが難しい
アスガルドに限らずティピ型やベル型はレイアウトが難しい!円形や正方形は区画サイトに配置するとき、十分な場所を確保できずにテンションがキチンとかからない場合も。
意外と設営面積が必要なんですね…コットン混紡やコットン100%はシワが目立ちやすいため、遠くにガイロープを張れるフリーサイト向きのテントではあります。
長方形のインフレーターマットを並べたとき、隅にデッドスペースが多くなり工夫が必要と認識しました。室内も室外も2ルームやドーム型のような長方形のほうがレイアウトしやすい(デッドスペースが少ない)です。
濡れたとき撤収がツライ 他
キャンプで雨が降りゴミ袋などに入れて自宅で乾した経験のある方は多いかと思います。軽量かつ乾きやすいポリエステルならまだしも、コットン混紡は濡れると重くなって苦痛です。
またベンチレーションが少なく熱がこもりやすいため6月~8月はとにかく暑いです。メッシュにできる面が多い2ルームテントと季節によって使い分けるのが良さそうです。
オフホワイトな色合い的に汚れが目立ち、泥汚れだけでなくジュースやお菓子など色移りしやすいものは取扱注意。子供達に汚されないかとピリピリしながらキャンプしたくはないので、シミや汚れも良い思い出と思える広い心が必要かも(^^;)
アスガルド初体験のまとめ
ノルディスクのベル型テント「アスガルド12.6」で寝泊まりしてみました。家族4人で地面に寝るのは約3年ぶりでしたが、ゴロゴロしながら楽しむキャンプも悪くないですね!
アスガルドはメリデメがはっきりしたテント。イマイチと感じた点こそブログで細かく伝えるべきと考え、当記事ではネガティブな意見を多めに紹介しました。
とはいえトータルでみれば幅広いキャンパーに人気なのも納得のオシャレなテント。キャンプ初心者が最初に買うべきテントではないけど、ステップアップの有力候補だと感じました。