スノーピークの石油コンロ「タクード」。煮炊きや暖房用としてキャンプで使い、便利な点と不便な点がわかってきました。タクードはかなり用途が限られた製品だと思います。
ファミリーキャンプで2ルームテントの暖房として使うには火力不足。デュオキャンプに適していますが、その良さは少人数用のシェルター内で使った場合に限定されます。
石油ストーブと比べ、持ち運びサイズが小さいのは魅力。芯を調整するだけのシンプル操作で、ガスやガソリンより燃費が良く、湯沸かしでの加湿や長時間調理に役立ちます。
この記事の目次
Snow Peak タクード
2021年12月から新潟県三条市のふるさと納税の返礼品にもなっているスノーピークのタクード。石油ストーブ(暖房器具)ではなく、燃費の良い石油コンロ(調理器具)です。
11月の猪苗代湖ソロキャンプでヴィガス前室にアルパカストーブを入れたら暑すぎたため、荷物のダウンサイジングを兼ねソロ・デュオ用としてタクードを入手しました。
タクードはトヨトミのOEM品
- 外寸:横幅371mm、奥行き358mm、高さ334mm
- 重量:約6kg
- 出力:2.15kW
- タンク容量:3.1L
- 燃料消費:0.209L/h
- 燃焼時間:約15時間
タクードは煮炊き専用の石油コンロ「トヨトミ K-3F」のOEM品と思われます。外装こそ大きく異なりますが、タンク容量や出力など燃焼機器としての基本スペックは同一。
高さ約33cmとキャンプでよく使われているフジカハイペットやレインボーストーブより低く、車載しやすくなっています。ただし出力は石油ストーブよりも控えめです。
ランドステーションでは使用不可
使用できる製品は、スノーピーク製のシェルター・2ルームシェルターに限ります。対応シェルターであってもシートやマットの上、またインナーテント内では使用しないでください。
テント内での使用は酸素不足による不完全燃焼を、タープ(側面にパネルのあるタープ含む)内での使用は風の影響により異常な炎が出て危険です。絶対に使用しないでください。出典:Snow Peak
商品説明に上記の記載があります。ドーム型テントやインナーテントで使うのは絶対NGだとして、側面にパネルのあるタープ(つまりランドステーション)も使用不可とのこと。
一部のシェルターでのみ使用可能
メーカー公式見解で制限事項が多くなるのは仕方ないのですが、スノーピーク製のシェルター・2ルームシェルターでのみ使用可能となると、あまりに使える範囲が狭すぎますね。
オープンタープの下やお座敷マットの上も使用不可ということで、以降に記載しているものにはメーカー推奨外の内容が含まれます。あくまでも自己責任の範疇とご理解ください。
天板は直径20cmまでの鍋用
タクードは主に煮炊きが得意分野となるため、付属の石油こんろ用天板を使うことで様々な鍋やフライパンを載せられます。例えばユニフレームのクッカーだと以下の通り。
- 天板なし(直径20cm以上)
- ダッチオーブン10インチ
- ダッチオーブン12インチ
- ダッチオーブンハーフ12インチ
- スキレット10インチ
- ラウンド鉄板
- 天板あり(直径20cm未満)
- ダッチオーブン8インチ
- ダッチオーブン6インチ
- スキレット7インチ
- ちびパン
- キャンプ羽釜
- 焚き火鍋
- ライスクッカー
- キャンプ中華鍋(底が丸いため不安定)
- 直径30cm以上の鍋やフライパン
よほど大きな鍋底サイズでなければ大抵OK。目安としては鍋底の直径30cm以下かつ平らであれば問題なく使えます。小さい鍋やダッチオーブンでも使えるのは良い点です。
社外品の七輪用ゴトクで弱火調理可
タクードは火力の調整幅が狭く、家庭用ガスコンロの中火程度で固定されます。炒め物より煮物や汁物に向いています。強火が必要であればシングルバーナーがおすすめ。
とろ火や弱火で調理したい場合は、火から物理的に遠ざけるための底上げが必要となります。市販の七輪用ゴトクを乗せれば、やや不安定ですが弱火での調理が可能です。
アジャスタブルグリルと相性が良い
ただし七輪用のゴトクは持ち運びサイズが大きく、せっかくのタクードの良さがスポイルされます。できれば強度があって小さく折りたためるゴトクと組み合わせるのがベター。
アジャスタブルグリルの一番低い高さは約10cm。開いた状態で両サイドにフィットし、とろ火にすることができたため、ゴトクとしての相性はなかなか良いと感じました。
ソフトキャリーボックスに収納可
レインボーストーブやグローストーブを収納できるスノーピーク純正のストーブバッグには「タクードには本製品を使用することはできません」との記載があります。
タクード専用の収納ケースではありませんが、雪峰祭2018春の限定アイテム「ソフトキャリーボックス 雪峰祭2018 EDITION」に七輪用ゴトク付きの状態で入りました。
ランドロックやトルテュには不向き
秋冬キャンプの暖房として評価した場合、ランドロック・トルテュ・エルフィールドには不十分。リビングシェル・メッシュシェルターにちょうど良い火力です。
いわゆる「対流式」のため熱はほぼ上に集まり、側面はあまり温かくなりません。反射板がないため幕寄せできず、シェルター中央寄りに置くレイアウトになります。
タフまるやタフまるジュニアと比較
比較表 | タクード | タフまる | タフまるジュニア |
---|---|---|---|
出力 | 2.15kW | 3.3kW | 2.3kW |
燃料 | 灯油 | カセットガス | |
鍋サイズ | 〜30cm | 16cm〜24cm | 11cm〜20cm |
概算燃費 | 25円/h | 80円/h | |
寒冷地 | 強い | 弱い | |
風 | 弱い | 強い | |
火力調整 | 中火のみ | 弱火〜強火 | 弱火〜中火 |
サイズ | 大 | 中 | 小 |
タクードを純粋な調理用火器としてイワタニの「タフまる」や「タフまるジュニア」と比較してみました。燃費が圧倒的に良く、長時間燃料切れしないのは煮物に便利ですね。
火力調整幅はタフまる、大きさはタフまるジュニア、寒冷地への強さや鍋サイズはタクードが優秀。私がバランスの良さで1つ選ぶなら、勝者はタフまるジュニアです。
アルパカとタクードの比較
アルパカストーブと比べてみると、底面積はほぼ同じですが、高さに差があります。多少なりとも持ち運びやすくなったものの、火力の違いからすると微妙な差かもしれません。
OEM元のトヨトミ K-3Fは15cm離せば風よけ目的のついたてOKなのに、タクードは反射板や風防が禁止事項になっています。アルパカのほうが使い勝手は良い気がします。
タクード レビューまとめ
- 気軽に持ち出しやすい本体サイズ
- 満タンで夕方から翌朝まで燃料が持つ
- ソロやデュオの暖房に最適な火力
- 様々な大きさの鍋で煮炊き可能
- 万が一の自動消火機能付き
- フジカよりも圧倒的に入手しやすい
- IGTに上からセットできない
- 耐風性能はほぼ期待できない
- 底板を取り付けるネジを紛失しやすい
- お値段以上ではなく値段異常
スノーピークの石油コンロ「タクード」をキャンプ用として検討されている方は、シェルター内で煮炊きに使う機会があるか、十分検討されることをおすすめします。
なんだかネガティブな感想多めになってしまいました。汎用性が高いとは言い難く、やや通好みの製品といえます。ただ、ソロやデュオには悪くない選択と思います。