新旧標準マクロ「Z MC 50mm」と「AF-S Micro 60mm」を比較

ミラーレス専用標準マクロNIKKOR Z MC 50mm f2.8

 2021年6月25日に発売されたニコンZマウントの標準マクロレンズ「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」をレビューします。主な用途は室内でのブツ撮りとスナップ写真です。

ニコンでは等倍撮影可能なレンズを「マイクロレンズ」と呼んでいますが、当記事では一般的に使われている「マクロレンズ」としています。

 ミラーレス時代の新型マクロ「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」と一眼レフ時代の旧型マクロ「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」をざっくり比較してみました。

ニコン標準マクロの新旧比較

NIKKOR Z MC 50mm f2.8 / NIKON Z6

 ニコンプラザ東京でNIKON Z6の清掃・点検を受けたとき、店頭に展示されていたZマウントの標準マクロ「NIKKOR Z MC 50mm f/2.8」を発売前に試すことができました。

 等倍撮影する機会はあまり多くありませんが、マクロレンズはとにかく寄れるレンズ。料理などのテーブルフォトにも適しており、Z MC 50mmの使い勝手はなかなか良さそう。

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NIKKOR Z MC 50mm f/2.8を入手

NIKKOR Z MC 50mm f2.8の外箱

 ニコンプラザで軽く撮ったファーストインプレッションとしては、軽量コンパクトな標準単焦点として、何気ない日常を切り取るスナップ写真も楽しめるレンズだと感じました。

 というわけで、買ってしまいました。星空撮影で超広角から標準を使うことが多い自分には中望遠のZ MC 105mmはまだ難しかろうと感じ、手頃なZ MC 50mmにしました。 

Z MC 50mmのフードはねじ込み式

NIKKOR Z MC 50mm f2.8の付属品

 Z MC 50mmの付属品はレンズキャップ、裏ぶた、レンズフード、収納袋、取扱説明書。薄型のレンズフードは内筒のフィルター枠にねじ込んで使う新製品「HN-41」です。

 遮光性メインではなく、被写体に近づきすぎてぶつけないようレンズの先端を保護するのが目的の模様。実物はステップアップリングにかなり近いデザインです。

内筒のフィルター径は46mm、外筒のフィルター径は62mm。外筒には市販のねじ込み式レンズフードや接写用リングライトを取り付けできそうです。
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AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED

AF-S Micro NIKKOR 60mm f2.8G

 Zネイティブのマクロレンズが出るまでのつなぎとして、一眼レフ用の標準マクロ「AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」の中古美品を入手し使っていました。

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 AF-S Micro 60mmの発売は2008年3月。今回のリニューアルまで既に13年経過しています。写りは素晴らしく、ミラーレスが主流になっても依然として高い評価を受けています。

Z MC 50mm vs AF-S Micro 60mm

ニコンの新旧標準マクロレンズを並べて比較

標準マクロ比較 MC 50mm Micro 60mm 60mm + FTZ
重量(フードなし) 約260g 約425g 約560g
サイズ(最大径) 約74.5mm 約73mm
サイズ(長さ) 約66mm 約89mm 約120mm
フォーカス方式 前群繰り出し インナーフォーカス
フィルター径 46mm 62mm
最大絞り(等倍) f/5.6 f/4.8
最小絞り(等倍) f/32 f/57
最小絞り(無限遠) f/22 f/32

 Z MC 50mmとAF-S Micro 60mmの新旧標準マクロを比較しました。絞り羽根9枚(円形絞り)、開放F値2.8、最大撮影倍率1倍(等倍)、手ぶれ補正なしが共通の仕様です。

レンズの重さとサイズの違いが歴然

AF-S Micro NIKKOR 60mm f2.8はマウントアダプターが必要

 レンズの太さこそほぼ同等ですが、持ち運び時のレンズの長さは新型が約66mm、旧型が約120mm。4割近くも短くなり、よりカメラ側に重心が来るようになりました。

 重さも差が歴然。フード込みの実測で新型が265g、旧型が593g。半分以下に収まっています。パンケーキレンズ同等とは言いませんが、コンパクトに仕上がっていると感じます。

 これらはひとえに、一眼レフ用のレンズをミラーレス一眼で使うために、フランジバック調整用として取り付ける必要がある「マウントアダプター FTZ」の影響が大きいです。

接写時のフォーカシング方式の違い

前群繰り出し方式のZ MC 50mmは長さが変わる

 Z MC 50mmは前群繰り出し方式を採用しており、ある程度被写体に近づいて撮影すると、突然レンズの内筒がビヨーンと伸びてきます。距離や拡大倍率がここで分かります。

レンズが伸びた状態でカメラの電源をオフにするとレンズが自動的に収納されます。フードやキャップは付けたままでも動作に問題ありません。

 AF-S Micro 60mmはインナーフォーカス方式を採用しており、レンズの全長が変わりません。サイズを優先するか否かでフォーカス方式の違いが決まったと思われます。

オートフォーカスの速度と精度

NIKKOR Z MC 50mmにはフォーカス制限のスイッチあり

STM(ステッピングモーター)の採用により、静音性に配慮するとともに、AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDより高いAF精度を実現。

出典:NIKKOR Z MC 50mm f/2.8

 AF-S Micro 60mmの発売当時、オートフォーカスが爆速と言われていましたが、2021年現在は「遅くはないけど、今となっては爆速というほどでもない」かもしれません。

 比べてみると、前群繰り出し方式のピント合わせ(無限遠からマクロ)はどうしても時間がかかります。ただ、フォーカス制限スイッチが搭載され、より使いやすくなりました。

画角と最短撮影距離の違い

AF-S Micro 60mmで撮った画角Z MC 50mmで撮った画角

 カメラを三脚に固定し、画角の違いを比べてみました。左がAF-S Micro 60mm、右がZ MC 50mm、センサーから被写体までの距離は同じですが、かなり画角が変わっています。

 とはいえ、いずれも等倍撮影可能なマクロレンズ。Z MC 50mmはさらに近づいて撮影することができ、AF-S Micro 60mmとほぼ同じ大きさで撮ることもできます。

 Z MC 50mmはレンズ先端から最短5cmまで寄れます。前玉にフッ素コーティングがされており、もし被写体に接触して汚れても掃除しやすくなっている点は安心感があります。

アップでブツ撮りしてみた(作例)

NIKKOR Z MC 50mm 最小絞り

 Z MC 50mmで近接撮影してみました。左が開放絞り(最大絞り)、右が最小絞りです。ニコンは実効F値表記なのでf5.6とf32です。被写界深度の違いが出ているかと思います。

 アクセサリーの外側にある輪っかが市販のマスキングテープ。等倍近くになると相当クローズアップできることがわかります。ただ、かなり被写体に接近してぶつかりそう。

 一通り使ってみての所感としては、等倍撮影をメインにするならZ MC 105mmのほうがおすすめ。Z MC 50mmは「寄ることもできる標準単焦点」という使い方がおすすめです。

Z MC 50mmを使ってみた雑感

NIKKOR Z MC 50mm f2.8はモダンでシンプルなデザイン

  • フォーカスブリージング(ピント位置で画角が変わる)の影響はかなりある
  • モダンでシンプルなデザインは好みが分かれそう(私は好き)
  • コントロールリングにM/A以外を割り当てられるのは動画撮影に便利
  • 防塵防滴に配慮した設計でも稼働部の多い前群繰り出し方式だと心配になる
  • MTF曲線の違いで写りにどう違いがあるかは素人にはわからなかった
  • レンズ内手ブレ補正を搭載せずに軽量コンパクト化を優先したのは大賛成
  • Z5/Z6/Z7にはボディ内手ブレ補正があるのでスナップや風景にも十分使える
  • 個人的には「ハーフマクロで60mm f2.5」のほうが便利だったかも
  • せっかくマクロが出たのでカメラ内での被写界深度合成機能が欲しい

まとめ

Z MC 50mmとAF-S Micro 60mmのスイッチ類を比較

 ニコンZマウントの標準マクロレンズ「NIKKOR Z MC 50mm」は大口径・ショートフランジバックを活かした軽量・コンパクトなレンズに仕上がっていると感じました。

大口径マウントによる設計自由度の向上を活かして光学構成を見直した結果、AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDよりも高い光学性能、逆光耐性を達成しています。

出典:NIKKOR Z MC 50mm f/2.8

 劇的に写りやオートフォーカスが良くなったとは感じませんが、Z6と組み合わせて実測1kg以内に収まっており、普段使いにピッタリではないでしょうか。星も撮れます。

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