スノーピークのアメニティドームはアウトドア初心者でも設営しやすいドーム型テント。普段のキャンプで実践している詳細な手順や1人で立てるコツをまとめました。
事前に準備しておきたい別売りアイテム、取扱説明書の記載だとわかりにくいポイント、設営講習会でスタッフから学んだテクニック、自分自身の経験則など交えて紹介します。
この記事の目次
アメド設営に必要なもの
アメニティドームの設営にあたりテント本体とは別に揃えておきたいアイテムは下記の3つ。他にもオプション品はありますがテントを立てるだけなら必要ありません。
- グランドシート
- 鍛造ペグ
- ペグハンマー
インナーテントの下に敷く「グランドシート」は純正品(フロアシート)がベスト。ブルーシートなど純正品以外を使うときはインナーテントより少し小さいサイズを選んでください。
鍛造ペグとペグハンマー
テントを地面に固定するペグは強固な「鍛造ペグ」で決まり。純正品のソリッドステーク30か社外品のエリッゼステーク28を最低10本、できれば18本以上揃えてください。
鍛造ペグを打ったり抜いたりする「ペグハンマー」は金属製の頑丈なものがおすすめ。プラスチックやゴムのハンマーは想像以上に疲れるため、やめておいたほうが無難です。
アメニティドームの設営手順
アメニティドームの設営手順やコツを詳しく解説してみたいと思います。当記事の写真は60周年記念モデルですが、カラーやデザインが若干異なるのみで従来モデルも構造は同じです。
- 風速3メートル以下
- 晴れもしくは曇り
- 適度に固い地面
- グランドシートは純正品
- テント設営は1名で実施
設営にあたり条件は上記の通り。経験者の方が読むと「普段の立て方と違う」「設営講習会で聞いた内容と違う」など違和感を感じるかもしれません。ぜひ自らの知識や経験との違いを楽しんでみてください(^^)
1. グランドシートを広げる
まずはじめにグランドシートを地面に広げテントの向きと位置を決めます。周囲は手前(出入口側)が2メートル以上、奥と左右はそれぞれ1メートル以上あけて配置してください。
テントの出入口は風下に向けるのが基本。風上に出入口を向けると突風が吹いたとき凧のように風を受けテントが吹き飛びます。
純正品のフロアシートは表裏や向きが若干わかりにくいのですが、白いラベルやブランドロゴが付いた面が上、手前です。慣れてくると手触りで表裏の判別ができるようになります。
2. 風で飛ばないようペグ打ち
出典:アニメ「ゆるキャン△」第10話
キャンプ経験豊富なリンちゃんが陣馬形山でムーンライトやグランドシートを飛ばされたように、しっかり押さえておかないと風で遠くまで飛んで行ってしまいます。
グランドシート4隅のゴムループにペグを通しハンマーでペグ打ちしておきます。このときゴムループを引っ張りすぎず、かなり余裕を持たせておくのがポイント。
ペグは深く打ち込みすぎると後々の作業に影響があるため、この時点ではあくまでも仮打ちとしてペグ全体の3割ほどを地面から露出させておいてください。
3. インナーテントを広げる
収納袋からインナーテントを取り出し、グランドシートの上に重ねて広げます。フロアシートの白いラベルとインナーテントの黒いビルディングテープが同じ向き(出入口側)になるようにします。
ビルディングテープのバックルがキチンと接続されているか確認し、風上の2ヶ所(上の図の風上1、風上2)だけ先ほど仮打ちしたペグにコーナーループを引っかけておきます。
インナーテント前後のファスナーはそれぞれ少しずつ開けておきます。このタイミングまでにファスナーを開けておかないと空気が出入りできずインナーテントを立ち上げるとき苦労します。
4. Xフレームで立ち上げる
アメニティドームの4本あるフレームのうち黄色(60周年モデルは赤色)の2本がXフレーム。インナーテントの同じ色のスリーブに押しながら通します。
インナーテントの4隅にあるピンにXフレームを挿す順番は風上2、風下1、風上1、風下2。風下1に挿せるピンは2つありますが正解はインナーテント寄りにあるピン(内側のピン)です。
Xフレームを地面に寝かせたまま弓なりに弧を描くようにして風下1の内側のピンに挿し込みます。ピンを足元に引き寄せながら作業すれば軽い力でピンに入ります。
Xフレームの1本目は立ち上げたり空中に浮いたりする必要はありません。風下1のピンを挿すとき風上2のペグが支えとなって1人でも作業しやすくなっているはずです。
最後の風下2はスリーブの端を持って全体を上に持ち上げたあとフレームを押し込み、しゃがみながら片手でフレームを抑えつつ、もう片手でインナーテントを足元に引き寄せ、低い位置でピンに挿し込みます。
アメニティドームのインナーテントは女性や小学校高学年でも楽に立ち上げられる簡単さが特徴。力技で無理やりピンに挿そうとするとテントが破れるかフレームが折れ曲がります。
5. サイドフレームを通す
インナーテントが自立したら残ったフレームのうち緑色(60周年モデルは紺色)のサイドフレームを同じ色のスリーブに通します。Xフレームとの交点はサイドフレームが上、Xフレームが下になるようにしてください。
サイドフレームの両端をピンに差し込んだら、先ほど少し開けておいたインナーテント前後のファスナーを全て閉じます。閉じておかないと後々ファスナーが閉まらなくなります。
インナーテントのコーナーループ6ヶ所を順番に軽く引っ張りながらペグ打ち。最初に仮打ちしておいた4ヶ所のペグは面倒くさがらずに一度抜いて位置を調整して打ち直したほうがキレイに仕上がることが多いです。
グランドシートのゴムループはコーナーループと一緒にペグ打ちしてもよいし、フレームに引っ掛けておくだけでも大丈夫です。ペグを打つときは強く引きすぎないことが肝心。
6ヶ所全てペグを打ち終わったらインナーテントのフックをフレームに引っ掛けていきます。(取説の画像とは少し異なりますが)フレームの交点はサイドフレームにフックを掛けてXフレームを囲むようにしています。
このタイミングで一度インナーテントの中を見て、底面に大きなシワがないか確認します。均等にテンション(生地の張り)がかかっていればたるみやシワがなくキレイに生地が伸びているはずです。
6. フライシートを被せる
収納袋からフライシートを取り出しバックルの調節テープを6ヶ所全て緩めておきます。インナーテントの横(今回は左側とします)にフライシートを置き、天井にあるベンチレーションが後ろ側になるよう向きを合わせます。
テント左側のバックル2ヶ所(風上1、風下1)で接続したあと、フライシートを持ってインナーテントに被せ、テント右側のバックル2ヶ所(風上2、風下2)で接続します。
この時点でペグで地面に固定されたインナーテントとフライシートがバックル4ヶ所で接続されており、フライシートが風で飛ばされる心配はなくなりました。
先ほど付けたバックルの1つを外してフライシートの下に潜りベルクロテープでフレームと固定。バックルを付け直したら次のバックルを外して…を計4回繰り返し。最後にサイドフレームのバックル2ヶ所を接続します。
6ヶ所の調節ベルトを軽く引いてフライシート全体にテンションがかかるようにします。強く引きすぎると後々調節ができないためベルトは数センチ引けば十分です。微調整は最後にまとめてやります。
7. 前室と後室の固定
最後に1本残った色の付いていない前室フレームをフライシートのスリーブに押しながら通し両端をピンに挿し込みます。
前室サイドドアコーナーのフックをリングにかけビルディングテープがしっかり伸びる位置に軽く引っ張りながらペグで固定。このコーナーループだけは内側からペグ打ちとなります。
最後に前室2ヶ所、後室1ヶ所のループをペグ打ち。ポイントは一度フライシートをグッと手前に引っ張ってシワを伸ばしたあと、少しだけ緩めて(1センチほど戻した箇所に)ペグを打つと全体的にキレイに張ることができます。
ベルトのテンションを微調整しシワが目立たなければ完成。風が強くなる可能性がありそうな場合は張り綱をペグダウン、風が弱いまま続きそうな場合はそのままでも大丈夫です。
フライシートのシワが取れない場合は全体のテンションが不足しているか、テンションに偏りがあるため。ペグの抜いて位置を変えてみたりベルトのテンションを緩めてみたりすると張りが均一になります。
8. アメニティドーム完成
ここまでで慣れると15分程度。ベルクロテープを巻くためにフライシートの下にもぐりこんで作業するとき汗だくになるかもしれませんが、それ以外は特に難しいところはありません(ワンポールテントと比べ手順は少し複雑かも)。
バックルの付け外しあたりが二度手間と感じる手順になっています。バックルで逆側を固定しておくことで風があっても楽にフライシートを被せてベルクロで固定できる作戦です。
ビルディングテープは必ずしも外さなくても大丈夫ですが、そのままだと足を引っ掛けやすいため設営が終わったら外して片付けておくほうが安心ではあります。
まとめ
スノーピークの大人気ドーム型テント「アメニティドーム」の設営手順と1人で立てるコツをご紹介しました。設営経験を積むと自分なりの手順を見つけることができるはず!
覚えておきたいポイント
- テントより先にタープを立てる
- 出入口を風下に向ける
- フロアシートはラベルが上、前
- 風上をペグで仮打ちし飛ばされないように
- スリーブの端を持ってフレームを押し込む
- フレームの先端を土踏まずで押さえておきピンを引き寄せながら座って入れる
- 一度勢いよくコーナーループを引っ張ってから少し戻してペグダウンするとシワがとれる
- 撤収時はフライシートのベルト6ヶ所は全て緩めておく
- 撤収時はインナーテントのファスナーは少し開けたままにしておく
- 撤収時はビルディングテープのバックルを付けておく
1人で設営できる条件
キャンプの大敵は大雨よりも強風。一般的には風速5メートルを超えると1人での設営が少し難しくなります。設営手順を間違えるとテントが飛ばされる、フレームが折れる、フライシートが破れるなどの被害が出ます。
ある程度のキャンプ経験があり風をうまく味方につければ風速7メートルでも1人で設営できます。風速10メートルを超えると2人で設営しないと厳しいです。
アメニティドームは風に強いテントと言われていますが、あくまでも張り綱をした完成後の話。設営作業中は風に弱いため、天気予報を見たり現地で体感してキャンセルするか含め判断してみてください(^^)