知っている人はバリバリ使っている「ミラーレス一眼の小ネタ」をご紹介します。星空撮影時にピント位置を無限遠で固定したいとき、カメラの設定を少し変えるだけです。
ピントを無限遠に固定したい
星空撮影するときは(大抵の場合)無限遠にある星にピントを合わせます。モニターを拡大表示して、マニュアルフォーカスでピントを合わせている方が多いかと思います。
今回ご紹介するのは、星にピントを合わせた後のお話です。カメラ初心者にはやや難しいと言われる「ピントの合わせ方」ではありませんのでご注意ください。
ピント位置が不意にずれる問題
せっかく合わせたピント位置。レンズヒーターを巻いたり構図を変えたりしたとき、フォーカスリングに触れてしまい、無限遠からピントがずれてしまうことがあります。
ピントのずれを防ぐには、パーマセルテープ等で物理的にフォーカスリングを固定するのが定番。私はテープで固定せず、AF/MFを変えるだけで対策できています。
ピントを固定する初期設定
- カスタムメニュー:半押しAFレンズ駆動:しない(OFF)
- カスタムメニュー:カスタムボタンの機能:レンズのコントロールリング:設定しない(OFF)
- フォーカスモード:AF-SまたはAF-C
細かなピント操作がしにくいと言われるフォーカスバイワイヤ方式のメリットを最大限に活かすのが今回のポイント。上記3つの設定を事前に行っておきます。
ユーザーセッティングを使うと便利
初期設定した内容は、ユーザーセッティング(U1/U2/U3)に登録しておきます。星空撮影時だけ適用したい特殊な設定なので、都度変えるよりユーザーセッティングが便利です。
ピントが勝手に変わらない撮影方法
撮影モードダイヤルをU1/U2/U3のいずれかに回して、あらかじめ登録しておいたユーザーセッティングを呼び出します。
この時点でフォーカスリング(コントロールリング)を回してもシャッターボタンを半押ししてもフォーカスが動かないことを確認しておきます。
次にレンズのAF/MF切り替えスイッチをMFにします。もしくは、レンズのスイッチをAFにしたまま、カメラ本体の設定をAF-S/AF-CからMFに切り替えても構いません。
MFに切り替えると、コントロールリング(フォーカスリング)の設定を無効化していても、強制的にマニュアルでフォーカスできる仕様になっています。
この状態でモニターを拡大表示し、星が一番小さくなるようピントをあわせます。もし合わせにくい場合は液晶モニタールーペを併用すると見やすくなります。
レンズのAF/MFスイッチをAFに切り替えれば完成です。レンズではなくカメラ本体でフォーカスモードを変えていた場合は、AF-SかAF-Cに戻します。
初期設定で「半押しAFレンズ駆動」と「レンズのコントロールリング」を無効化してあるため、一切フォーカスが変わることなく星空撮影の構図やタイミングに集中できます。
フォーカス位置の記憶でより便利に
- セットアップメニュー:フォーカス位置の記憶:する(ON)
ZIIシリーズは発売時から、Z5/Z6/Z7/Z50は2021年4月26日に公開された最新ファームウェアの導入から、それぞれ「フォーカス位置の記憶」を設定できます。
ONにしておくと、カメラ本体の電源を切ってもピント位置が保持されるため、再度ピント合わせからやり直さなくても撮影を始められます。置きピンされる方にも便利かと思います。
まとめ
フォーカスバイワイヤ方式のオートフォーカスレンズでピントを固定するテクニックをご紹介しました。ただし、一度ピントを合わせた後、下記の場合はピントを合わせ直します。
- ズームしたとき(レンズによる)
- 絞り値を変えたとき(レンズによる)
- フィルターを付けたり外したりしたとき
- 気温や標高が大きく変わったとき
残念ながら、物理的にフォーカス位置を変えるレンズ(電子接点のないマニュアルレンズ等)だと今回の技は使えません。星景写真や星夜写真の撮影の参考になれば幸いです。