星空撮影に適したミラーレス一眼を選ぶときの目安

星空撮影時に使用しているポタ赤とカメラ

 星空と景色を1枚の写真に収める星景写真。夜間に星景写真を撮影するとき便利なデジタルカメラの機能や特性をこれまでの実体験をもとに整理してみました。

 デザインは好みがあるため判断基準に入れず、レンズ固有の機能や特性もあえて考慮せず、カメラ本体のみに特化して評価しました。ご参考になれば幸いです。

本投稿に登場する用語は、メーカーによって微妙に異なります。ニコン機での名称を主に用いていること、ご了承ください。

星空カメラの性能要件

動画撮影と星空撮影に使用している富士フイルムX-T3

  1. 高感度ノイズが少ない
  2. 長秒時ノイズが少ない
  3. RAW撮影可能
  4. レンズのバリエーションが豊富
  5. 電子シャッター
  6. レンズ交換時にセンサーを保護
  7. ピントの拡大倍率が高い
  8. ブライトモニタリング
  9. カスタム設定が保存可能
  10. バルブタイマー
  11. インターバルタイマー
  12. なるべく小さくて軽い
  13. 3軸チルト液晶
  14. 露出平滑化
  15. USB給電
  16. 液晶を赤く暗くできる
  17. フィルター装着スペースあり
  18. スターイーターやグリーンスターがない
  19. Lightroomのテザー撮影に対応
  20. 星にオートフォーカスでピントが合う

 上から順番に「購入を検討するとき優先度が高い」と感じているミラーレス一眼の性能や特徴です。上位はマスト、下位はベター、一番最後のはただの願望かもしれません。

高感度ノイズ・長秒時ノイズが少ない

右脳派女子のRAW現像はファンタジーの世界

 とにもかくにも、ザラザラした高感度ノイズ、カラフルな斑点状の長秒時ノイズ、シャドウを持ち上げたときのバンディングノイズが少ないことが理想です。

 高感度ノイズが少なければ、複数枚を連続撮影して合成するコンポジット処理、赤道儀に乗せての長時間露光ひいてはダーク減算の手間も減りますしね。

交換レンズのバリエーションが豊富

NIKON Z6とZ50を並べてみる

 星空撮影にはカメラ本体よりも交換レンズの性能の方がより重要と言われています。カメラ本体や純正レンズが優秀でも、交換レンズの少ないマウントは辛いです。

 昨今のソニーEマウントを見ていると、サードパーティー製のコスパに優れたレンズが多く、ニコンZマウントや富士Xマウントよりも競争原理が働いていて羨ましい。

ブレを防ぐ電子シャッター

富士フイルムX-T3はシャッター方式の選択肢が多い

 カメラ内でミラーが動く一眼レフは、ミラーアップした状態で撮影しないと振動でぶれてしまいます。ミラーレス一眼は振動を起こすミラーがなく、星撮りには好都合。

 メカでも電子先幕でもなく、電子シャッターが理想的。ただ電子シャッターは長秒露光時にノイズが出やすい気がするので、電子先幕のほうが良いかもしれません。

レンズ交換時にセンサーを保護

NIKON Z6は起動中にバッテリーを外すとシャッター幕が下りたままになる

 電源をオフにしたら自動的にシャッター幕が閉じるのが理想的。特にミラーレス一眼はセンサーが丸出しになっており、レンズ交換時にチリが付着しやすくなっています。

NIKON Z6の「電源オンの状態でバッテリーを抜くと、シャッター幕が閉じたままレンズ交換可能」というのは、やや裏技的な方法かも…

ピントを合わせやすい

拡大率の低いX-T3はモニタールーペで拡大する

 オートフォーカスでなかなか星にピントが合わないのは積年の課題。現状はフォーカスリングを回して、マニュアルで無限遠にある星にピントを合わせるかと思います。

 そのとき液晶画面を拡大する倍率が低いと、星にピントが合っているか判断しにくく感じます。ルーペを使えば多少見やすくはなるものの、10倍以上拡大できると助かります

夜間撮影に役立つ液晶表示

富士フイルムX-T3の赤くて暗い液晶表示

 真っ暗闇で無限遠にピントを合わせるとき、液晶画面で構図を確認しやすくなるブライトモニタリング(ソニー機での名称)があると助かります。

 富士フイルムの低照度優先やオリンパスのライブビューブーストも似た機能です。他にも、赤くて暗い液晶表示は真っ暗闇でも目に優しく、星空撮影時には役立ちます。

バルブタイマー・インターバルタイマー

ロワジャパンのタイマー付きレリーズがコスパ抜群

 シャッタースピードは最長30秒というカメラが多いのですが、赤道儀に乗せて長時間露光することを考えると、バルブタイマーで90秒以上できるのが理想的

 また連続撮影するためのインターバルタイマーも内蔵していることが望ましいです。もしいずれかがない場合は、ロワジャパンのタイマー付きレリーズでも代替できます。

3軸チルト液晶

富士フイルムX-T3は縦構図に便利な3軸チルト液晶

 縦構図で撮るときは3軸チルト液晶がとにかく便利です。バリアングルモニターも悪くはないのですが、L字プレートを付けたとき干渉して操作しにくいのが欠点。

 昨今はYouTuberやVloggerなど動画ユーザーが増えたため、バリアングルが主流になってきており、3軸チルトが絶滅しつつあるのがちょっと心配です。

露出平滑化・USB給電

オートホーリーグレイル撮影時のインターバルタイマー設定

 露出平滑化とUSB給電は、いずれも数時間かけて撮り続けるタイムラプス撮影で欲しい機能。USBで充電できるだけでなく、USBで給電できることが重要なポイントです。

 露出平滑化(露出平準化)については、機能のありなしよりも、どれだけ滑らかに輝度差を補正して、動画化したときのフリッカーを軽減できるかが気になります。

まとめ

手持ちのカメラの適合度を評価してみた

 星空撮影に適した機能や特性を有しているか、普段使っているNIKON Z6とFujifilm X-T3で判定してみました。完璧なカメラはないにしても、理想にはほど遠い…

 メイン機のZ6はバルブタイマーとUSB給電がないのが地味に辛い。サブ機のX-T3はノイズの多さとピントの合わせにくさがしんどい。いまはまだそんな感じです。

 あくまでも私自身があると便利な機能や特性だと思っているものですが、一般的な星空撮影用のミラーレス一眼カメラ選びの目安として参考になれば幸いです。

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