満天の星々に包まれた自然豊かなキャンプ場で天の川や星座を写真に収めるなら、機材の準備に加え、露出をコントロールするマニュアルモードの使いこなしが必要不可欠。
スナップ写真を中心にカメラを始めて数年の自分が、星景写真(星空と地上の風景を1枚に収めた写真)を撮るために読んだ解説書の中から、おすすめの5冊を紹介します。
星空キャンプを撮りたい
出典:ゆるキャン△
焚き火を囲んでキャンプしていると、美しい星空に出会うことがあります。素敵な記憶を写真に収め、いつまでも残る記録として残したい。そんなときはカメラの出番です!
普段からキャンプ本はあまり読まず、ガルヴィのオートキャンプ場ガイドや人気ランキングを読む程度ですが、星空撮影は書籍から先人達の知識を得ないと難しいと感じています。
星空撮影にも「星野写真」「星景写真」「天体写真」などたくさんの種類がありますが、易しすぎず難しすぎない解説が書かれた良本が星空キャンプの参考になります。
星空撮影の教科書
難易度:★★☆☆☆
星空撮影の教科書は、副題となっている「星・月・夜の風景写真の撮り方が、これ1冊でマスターできる!」の通り、星空撮影に関する幅広い内容が詰め込まれています。
本書は、カメラの設定から必要な機材、撮影スポットの探し方、事前の撮影シミュレーションなど、これから星空の撮影に挑戦したいという方を対象に、星空を美しく撮影するためのさまざまなノウハウを解説する書籍です。
出典:技術評論社
前半が準備や撮影の基礎知識、後半が実例を交えたテクニック集です。ページ数が多く内容が濃い分、カメラを始めたばかりの方が読むと、やや難しさを感じるかもしれません。
1冊だけ選ぶならおすすめの本
出典:星空撮影の教科書
星景写真に特化した解説書ではありませんが、機材の選び方からピントの合わせ方まで撮影時に必要となる知識が網羅されており、あえて1冊だけ選ぶなら最もおすすめ。
比較明合成を使った星空ぐるぐる写真やペルセウス座流星群、都市星景やタイムラプスも紹介されています。月や惑星など天体撮影の解説もあり、まさに星空撮影の教科書!
個人的に残念だったのは、著者の方がCANONユーザーだからか、紹介されているカメラやレンズがCANON中心であること。作例にNIKONのニの字もないと肩身が狭いです。
星空撮影の教科書 ~星・月・夜の風景写真の撮り方が、これ1冊でマスターできる! (かんたんフォトLife)
星景写真撮影術 改訂版
難易度:★☆☆☆☆
星景写真撮影術は、星景写真の撮影に特化した解説本。星空撮影の教科書よりも冊子は薄くて軽いですが、内容は盛りだくさん!初版から約4年ぶりの改訂版です。
星空をデジタルカメラと三脚を使って地上景色とともに写し撮る
カメラと三脚だけで印象的な風景とともに四季の星空を写し撮る「星景写真」。その基本から応用まで、さまざまなノウハウを一冊に収めたムックです。2015年の発行から4年、構成を一新し、新しいフィルターの紹介や作画のヒントなどを追加しました。
出典:KADOKAWA
2019年7月末に刊行されたばかりということもあり、街明かりによる色かぶりを抑える新型フィルター「スターリーナイト」の光害カット性能も紹介されています。
キャンパーが最初に読むべき星空本
キャンプと星撮りの組み合わせなら、このムック本がど真ん中だと思います。それなりにキャンプ経験があって、星空撮影に興味がある方に一番おすすめできる解説書です。
RAW現像(レタッチ)ソフトは使用者の多いPhotoshopやLightroomではなく、天体画像処理に特化したステライメージが使われています。YouTubeの解説も勉強になります。
話題のフルサイズミラーレスも登場しているのですが、星空撮影の教科書と同じ著者の方なので、撮影機材や作例はCANONがほとんど。NIKONユーザーとしては複雑な気分(^^;)
星空写真撮影術 改訂版
難易度:★★★☆☆
ここから紹介する3冊は、やや範囲が狭まります。星空写真撮影術は、赤道儀にカメラを乗せて自動追尾し、星が点で写るようにする撮影法に多くのページを割いています。
コンパクト赤道儀とデジタルカメラを使って星空や星座、星雲星団を撮影する
2015年発行のムック「星空写真撮影術」の改訂版です。ポータブル&コンパクト赤道儀を使って星を追尾しながら撮影する「星空写真」について、新たに発売された赤道儀や撮り方の新しい解説などを追加し、よりわかりやすく、より実践的な内容でお届けします。
出典:KADOKAWA
何度か星空撮影を経験し、さらに上を目指したいと考えたとき、多くの方が「ポータブル赤道儀(ポタ赤)を導入してみたい!」と考えるのではないでしょうか。
赤道儀に興味が出てきたら読む本
photo by アストロアーツ
副題となっている「赤道儀を使って星を追いかける」の通り、赤道儀の使い方や製品紹介などがしっかりと書かれています。赤道儀の選び方など知りたかったことがいっぱい。
- ビクセン:ポラリエ
- サイトロンジャパン:ナノ・トラッカー
- スリック:アストラ ECH-630
- ケンコー:スカイメモT
- ケンコー:スカイメモS など
主な撮影対象が星座や星雲となっているため、この本だけで星景写真の基礎が身につくとは思えませんが、前述の2冊の副読本として赤道儀の追尾機能に興味があれば、ぜひ。
プロフェッショナルワークショップ Lightroom
難易度:★★★★☆
キャンプの光景をスナップ写真に収めるだけならJPEG撮って出しで十分ですが、星空写真は撮り終えるまでが半分、残り半分はレタッチを含むRAW現像だと感じています。
プロフェッショナルワークショップ Lightroomは、星景写真の画像処理で使うAdobe Lightroom Classic CCの全パラメータが解説されているリファレンス本。
特に[現像]モジュールは全てのパラメーターについての詳細に解説しており、Lightroomのリファレンスとしても使うことができます。また、実践的なRAW現像のテクニックも作例を使って詳しく解説しています。
出典:技術評論社
Lightroomを使いこなすための本
上の写真はAPS-Cの一眼レフにズームレンズを付けて1枚撮りし、寝袋に入りながらLightroomを使って10分くらいで仕上げました。段階フィルターや補正ブラシは未使用です。
NIKON純正のCapture NX-DでもRAW現像できるのですが、Capture NX-Dはソフトが重すぎるのと、社外レンズへの対応が不十分なので、Lightroomを使うことが増えました。
どのパラメーターをどの順番でどの程度いじるかを考えるとき本書が役立ちます。Classic CCに対応していることが高評価ですが、頻繁にアップデートが入るため参考程度で。
カメラとレンズのしくみがわかる光学入門
難易度:★★★★★
カメラとレンズのしくみがわかる光学入門は、中学校の理科や高校の物理で学ぶ「光の性質」がカメラやレンズにどう活かされているかを学べる解説書。
デジタルカメラマガジンの人気連載「いまさら人には聞けない大人の光学入門」待望の書籍化! 2年間の連載を再構成し、連載誌面では語りきれなかった詳しい説明を加筆しました。
出典:インプレスブックス
星景写真と直接は関係ないのですが、こういった原理や仕組みを知ると、撮影現場での設定がいかに大事かわかります。雑誌の連載をまとめたものらしく、プロも読んでいるとか!?
興味がない人は眠くなること間違いなし
photo by インプレスブックス
屈折や散乱などの用語が連発するため、どちらかといえば文系よりも理系出身者のほうがしっくりくるかも。物理に抵抗感のある方は第1章を読んでいる途中で寝落ちできますw
絞りやISO感度など撮影時によく使う用語はある程度わかっていたのですが、RAW現像時に登場する色相や彩度、輝度などがどういったものかも挿絵を交えて解説されています。
まとめ
星空を撮影するとき参考になった解説本をご紹介しました。電子書籍の読み放題や雑誌の立ち読みでかれこれ20冊以上読みましたが、当記事で紹介した書籍でほぼ事足ります。
知識を得たうえで、街明かりや雲の出方、月の位置などを総合的に考えて、寝落ちしないように気を付ければ、誰でもそれなりの写真を撮れるのが星空キャンプの良いところですね。
カメラをこれから始める方には、イラストレーターで女子ソロキャンプの第一人者の方が書かれた初心者向けの解説本が評判良いみたいです。レッツ星空キャンピング!