湖越しに見える子抱き富士と夜空に横たわる天の川を撮るべく、富士五湖の1つ「精進湖(しょうじこ)」の他手合浜で星景タイムラプスを撮影しました。
富士山の真上に天の川が昇り始め、徐々に湖面が凍って日の出を迎えるまでの変化をオートモードで撮る「オートホーリーグレイル撮影」を試しました。
逐一手動で露出調整したり、ちらつきを軽減するデフリッカー処理したりしなくても、カメラが適切に処理して良い感じに撮れてしまうことに感動しました。
この記事の目次
精進湖でホーリーグレイル撮影
東京から約2時間、富士山と星空の組み合わせを手軽に撮れる精進湖。カメラ初心者に優しいスポットかと思います。朝方に濃い天の川が昇り始める2月下旬に行ってきました。
この日は上弦の月(半月)のため深夜0時を過ぎると月明かりはなく、他手合浜(たてごうはま)の湖面ギリギリまでクルマを進め、深夜3時頃から撮影開始。
オートホーリーグレイル撮影
今回の目的は、富士山の上に横たわる天の川を撮影すること。NIKON Z6のサイレントインターバルタイマー撮影を使って「オートホーリーグレイル」も試します。
「インターバルタイマー撮影」に「サイレント撮影」を併用し、さらに「露出平滑化」を使用すると、測光の低輝度限界を、通常撮影時を大幅に超える暗さまで拡張できます。夕暮れから星空までなど明るさが大きく変化する情景の移り変わりも、絞り優先オートで適正露出を保ちながらひと続きで撮影できます。
絞り優先オート(Aモード)で自動露出が効くかがポイントになりますね。インターバルタイマーとISO感度設定はマイメニューに入れておくと便利かと思います。
ISO感度の低速限界がポイント
- 撮影モード:絞り優先オート
- 絞り:f1.8(開放絞り)
- ホワイトバランス:4000K
- ISO感度:100(最低感度のこと)
- 感度自動制御:ON
- 制御上限感度:6400(最高感度のこと)
- 低速限界設定:13秒(最長SSのこと)
タイムラプス専用として撮るなら、低速限界設定はもう少し長くするとノイズも減って、滑らかな動画に不可欠なモーションブラーっぽくなりそうですね。
サイレントインターバルタイマー
- 撮影間隔:15秒(1分間に4枚、1時間に240枚の撮影ペース)
- 撮影回数:1500回(途中で強制終了するので終了日時をみて数時間あればOK)
- 1回のコマ数:1コマ
- 露出平滑化:ON
- サイレント撮影:ON
- 撮影間隔優先:ON
上記以外は一般的な星空撮影時の設定(手振れ補正OFF、マニュアルフォーカスなど)で問題ないかと思います。測光モードはマルチパターンで本当に良いか悩み中。
実はホワイトバランスもオート(自然光オート)でいけるそうです。失敗したときの補正が大変なので今回はAWBにせず、ひよって4000K固定にしてしまいました。
オートに期待する露出制御の順番
ホーリーグレイル撮影の場合、私なら以下の優先順位での露出制御を期待します。最近はデュアルネイティブISOを搭載したカメラもあるのでこの限りではないかもしれません。
- ISO感度:最優先でなるべく低く調整されるべきもの
- シャッタースピード:ISO感度で制御できないときに変わるもの
- 絞り:変えるとピントがずれるレンズもあるので基本は固定
今回の場合だと「最初にSSを長くしてISO感度を低く抑え、徐々に明るくなってきたらISO感度から下げ始め、最低感度まで下がったらSSを短くする」という動作が理想です。
絞り優先オートでの露出推移
- 13秒、ISO 640(明らかに露出不足)
- 13秒、ISO 900
- 13秒、ISO 1000
- 13秒、ISO 1250
- 13秒、ISO 1400
- 13秒、ISO 1800
- 13秒、ISO 2000
- 13秒、ISO 2000
- 13秒、ISO 2200
- 13秒、ISO 2500
- 13秒、ISO 2500
- 13秒、ISO 2800
- 13秒、ISO 2800
- 13秒、ISO 3200(個人的には許容範囲)
- 13秒、ISO 3200
- 13秒、ISO 3200
- 13秒、ISO 3600(ほぼ適正露出と推測)
- 13秒、ISO 3600
- 13秒、ISO 3600
- 13秒、ISO 3600
- 13秒、ISO 3600
- 13秒、ISO 3600
- 13秒、ISO 3600
- 13秒、ISO 4000(以後しばらく続く)
サイレントインターバルタイマー撮影の1枚目から適正露出にはならず、24枚目でISO感度4000になり、以後は安定していました。上の写真はいずれも撮って出しです。
最初の20枚程度(今回は約6分間)はカメラが適正露出を探るための時間と割り切って使わず、タイムラプス動画にするときには含めないほうが良いのかもしれませんね。
カメラを放置して2時間ほど仮眠
ISO 4000で自動露出が安定したのを見届けたら、車内に戻って一休み。精進湖はカメラとクルマがすぐ隣にあるので、長時間撮影するとき本当に便利な場所だなと感じます。
こんなときのためにミニバンの後部座席にMGR Customsのベッドキットを組んでおり、ポータブル電源と電気毛布でぬくぬくの寝袋に入って2時間ほど仮眠zzz
マイナス6度で湖面が結氷
撮影を始めた3時頃は凍っておらず、富士山と星空のリフレクション(湖面の反射)が綺麗に映っていた精進湖も、朝方には湖面の半分ほどが凍っていました。
最低気温はマイナス6度程度。カメラも三脚も凍ってしまいましたが、さすがにこの程度の気温では全く問題なし。カーボンだと不意に触れても危なくないのが助かりますね。
X-T3でも撮ったら大失敗
他メーカーの機種でも似たようなことができるか試してみようと、APS-Cミラーレス「Fujifilm X-T3+Samyang 12mm f2.0」でも試してみたのですが…
Nikon Z6とFujifilm X-T3ではインターバルタイマーの撮影間隔の意味が違うことを忘れており、日の出が近づくにつれ高速連写になってしまい、SDカードがパンクorz
星空撮影中のシャッタースピードが安定せず、X-T3は自動露出で迷っているのが伺えます。この辺りはX-T3よりZ6のほうがよくできているのかもしれませんね。
オートホーリーグレイルの感想
オートホーリーグレイルを撮ってみての感想としては、最初の設定さえキチンとしておけば天の川から日の出までカメラを放置できるのが素晴らしいと思いました。
残念だったのは、NIKON Z6がUSB給電に対応していないため約3時間でバッテリー切れになってしまったこと。今回の検証だと「氷点下で800枚程度が目安」とわかりました。
星空撮影といえば絞りもシャッタースピードもISO感度も手動で設定する印象がありましたが、まさか絞り優先オート(Aモード)で適正露出が得られるとは…恐れ入りました!
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