予算10万円でカメラやレンズを揃えて始める星景写真撮影2020

FINAL FANTASY VII REMAKEの天の川

 夏は天の川や夏の大三角、冬はオリオン座や冬の大三角を背景に、前景に風景を加えた星景写真。天体写真よりも手軽に撮れるため、人気のある撮影対象です。

 ただ、それなりの星景写真を撮ろうとすると、カメラとレンズだけで最低20万円以上、できれば30万円以上は必要。それでも工夫すれば多少まともな写真を撮れます。

 予算10万円の場合、中古であれば問題なく集められますが、目利きが必要なため初心者には敷居が高め。新品で揃える条件で2020年春時点のおすすめをまとめました。

予算10万円で揃える撮影機器

  商品名 参考価格
カメラ FUJIFILM X-T20 約59,000円
レンズ SAMYANG 12mm f2.0 約34,000円
フィルター Kenko プロソフトン 約3,000円
三脚 Velbon EX-430 約3,000円
合計 約99,000円

FUJIFILM X-T20

Fujifilm X-T20

photo by FUJIFILM

 まずはデジカメ本体。予算10万円だと選択肢が狭まりますが、最新モデルではなく型落ちモデルを狙ってみました。富士フィルムのミラーレス一眼「X-T20」をチョイス。

  • ミラーレスだからコンパクトで持ち運びやすい
  • レンズもカメラも軽量だから三脚も軽くて済む
  • 多彩な表現が可能なフィルムシミュレーションを使える
  • XマウントはAPS-Cサイズに特化している

Xマウントのレンズ群

photo by FUJIFILM

 愛読しているデジカメinfoさんの情報によると、最近Xマウントの仕様が開示されることになったようです。安価で性能の良いレンズが他社から発売される可能性大!

(Xマウントをサードパーティーに開示する予定はあるか?)
イエスだ。ケンコー・トキナーは、既にAFのXマウント用レンズを発表している。多くのユーザーが、より多くのレンズを望んでいるので、そのニーズを満たしたいと思っている。

トキナーからXマウントのAFレンズが発表されたのは、富士フイルムがXマウントをサードパーティーに開示したためなんですね。開発のハードルが下がったので、今後、他のレンズメーカーからもXマウントのレンズが登場する可能性が高そうです。

出典:デジカメinfo

 キヤノンやニコンが一向に仕様を開示せず、マイクロフォーサーズやソニーのEマウントにユーザーの多くが流れたことを考えると、Xマウントの将来は明るいと思います。

 数年前のモデルとはいえ性能は必要十分。Canon Kiss Mも良いカメラですが、交換レンズの少ないEF-Mマウントは将来が不安で、今回はおすすめできませんでした。

SAMYANG 12mm f2.0

Samyang 12mm f2.0

photo by ケンコー・トキナー

 星空撮影の定番レンズといえばNikonの広角大三元「14-24mm f/2.8G」ですが、レンズだけで20万円以上。より明るいSigmaの超広角単焦点「14mm f1.8」も15万円以上。

 星景写真に用いられるレンズは一般的に高価です。そんな常識を覆し続けているのが韓国サムヤンの単焦点レンズ群。特にミラーレス専用の「12mm f2.0」が凄い。

Samyang 12mm f2.0

APS-Cサイズのミラーレスカメラ専用に開発した、広い画角の低歪曲のマニュアルレンズです。最小絞値がF2.0で暗い場所でも鮮明な写真を撮ることができます。

  • 換算18mm相当の超広角
  • 開放絞りf2.0と明るい
  • 約260gと軽量コンパクト

 星空撮影の大敵である非点収差やコマ収差がかなり抑えられており、開放絞りで撮影されたLensTipのサンプルを見てビックリしました。コスパ良すぎです。

Kenko プロソフトン 67mm

Kenko PRO1D プロソフトンA

photo by ケンコー・トキナー

 肉眼で見える星空とカメラで撮った星空、なんとなく星座の見え方が違う。そんなときは意図的に写真をにじませる「ソフトフィルター」の出番です。

 KenkoのプロソフトンAを付けると明るい星は大きく、暗い星は目立たなく撮れるため、肉眼で見た印象に近くなります。自分はレンズにほぼつけっぱなし。

 20mm未満の超広角レンズはフィルターを付けることができない出目金レンズが多いのですが、SAMYANG 12mmは67mmのフィルターを取り付け可能。

前景の様子まで柔らかな表現になってしまうのと、周辺の星が点ではなく線状に流れるのと、ピント合わせがやや難しくなるのが欠点。

三脚:Velbon EX-430

 カメラ本体、レンズ、フィルターで10万円にかなり近づいているため、三脚はとりあえず安物で我慢。ミラーレス一眼は軽量なので耐荷重1kgもあれば十分です。

 天体撮影はごくわずかな振動すらブレの原因となるため、太いカーボンを使った5万円以上する三脚が好まれますが、超広角の星景写真なら優先度はやや低め。

おうちで星空撮影の練習

縦構図で撮る利尻富士と夏の天の川

 当記事を書いている2020年4月現在、新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が出され、外出自粛でキャンプや星空撮影に出かけることができない状況です。

 道具を揃えたとしても、ぶっつけ本番で撮るのはかなり難しい。こんなときは自宅で事前準備と練習を繰り返し、本番で慌てないようにしておきたいですね。

セッティングを変えておく

 SAMYANG 12mmにはカメラとレンズが通信するための電子接点がありません。カメラからすると「きちんとレンズがくっついているかわからない」状態。

 カメラの設定で「レンズなしレリーズ」を有効にしておかないと、シャッターを切れません。ネット上の口コミで撮影できないとコメントがあるのは、ほぼ設定ミスが原因。

 レンズなしレリーズを有効にすると、レンズが付いていようがいまいが、いつでもシャッターを切ることができるようになります。忘れずに有効化しておきましょう。

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マニュアルフォーカスの練習

前景にフォーカスを合わせた星景写真

 SAMYANG 12mmはオートフォーカスのできないマニュアルフォーカスレンズです。半押ししても何も起きません。自分でフォーカスリングを回してピントを合わせます。

 液晶画面を最大まで拡大して、自宅のベランダやテラスから遠くにある電灯を点になるようピント合わせする練習が必要不可欠。何度も練習すれば10秒かからずにできます。

 残念ながらフォーカスリングの無限遠の目印は正確ではありません。気温や気圧などの変化によりピント位置は毎回異なるため、事前に合わせても現地で再調整となります。

マニュアルモードに慣れる

 SAMYANG 12mmは単焦点レンズなのでズームすることはできません。レンズ側で操作するのは絞りとフォーカスのみ。ほとんどはカメラでの設定となります。

 フルオートやプログラムオートだとカメラが自動的に決めてくれる「絞り(F値)」「シャッタースピード」「ISO感度」は、マニュアルモードだと全て自分で調節します。

 適切な値や微調整の仕方は参考書が役に立ちました。自分はまず「開放絞り、10秒、ISO1600」で試し撮りし、暗ければ15秒やISO3200に変えたりしています。

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フィルターありのフォーカス

 ピント合わせ後にソフトフィルターを取り付けると、微妙にフォーカスがずれます。フォーカスリングをテープで固定していても、経験則的に「ややずれ」する印象。

 フィルターなしのピント合わせだけでなく、同じ要領でソフトフィルター付きのピント合わせも練習しておくと安心です。自宅から明るい星が見えるならぜひ。

 無限遠の点光源だった星がソフトフィルターを付けると少しにじんで見えるため、ピント合わせが独特になり、練習が欠かせません。自分は今でも苦手(^^;)

まとめ

朱鞠内湖第1キャンプ場近くから眺める夏の天の川

 春は夜空に横たわる天の川を撮影する絶好の機会でしたが、新型コロナウイルス感染症が落ち着くまでSTAY HOME。星空の素敵なキャンプ場に早く行きたいです。

 予算10万円で一式揃えるカメラやレンズを紹介しました。あと5万円追加できるなら最新モデルにオートフォーカス付きのレンズ、フィルターなども完備できます。

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