RAW撮影できる全天球カメラ「RICOH THETA Z1」であれこれ撮ってみた

360度カメラRICOH THETA Z1で撮った夏の海辺

 1枚の写真に見渡す限りの景色を収められる360度全天球カメラ「RICOH THETA」シリーズのエントリーモデルSCとフラッグシップモデルZ1を使い比べてみました。

 センサーが大きくなり、自撮りや景色だけでなく星空撮影もこなせ、天の川や夏の大三角など夏休みの思い出記録にもピッタリ。絞り値も変更できるようになりました。

 あとから編集しやすいRAW形式で撮影でき、Lightroomで段階フィルターや円形フィルターを適用したり、明瞭度やかすみの除去で調整できるのがなかなか便利です。

360度カメラRICOH THETA

RICOH THETA Z1 サンプル 夏の海岸 RAW現像 #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

 2019年5月に発売されたRICOH THETA Z1。全天球カメラ「RICOH THETA」シリーズの最上位モデルです。そもそも360度ってどんな感じ?ということで、まずは海辺のサンプルを。

 ミニ三脚にカメラを取り付け、砂浜に置いて離れた場所からパシャリ。周囲の景色をぐるぐる回したり拡大したり、長方形の静止画とは全く異なる表現方法だと感じます。

2つのレンズで1枚の360度写真に

360度カメラのRAW画像は2つの円周魚眼レンズ

 全天球カメラの仕組みは、両側の魚眼レンズ(円周魚眼)で撮影した2枚の写真をソフトウェアで合成して、1枚の360度写真となるよう自動的にアプリが加工してくれています。

 上の写真は合成される前の状態(RAW形式)。アドビのLightroom Classic CCやPhotoshop CC(Camera Raw)でRAW現像するときに素の状態を確認できます。

 リコーの公式ソフト(スティッチングPlugin)で1枚の360度写真に変換する際、不要な黒い部分は切り捨てられ、繋ぎ目や傾きなどを微調整したら出来上がりです。

室内のレイアウト確認にも効果的

RICOH THETA Z1 サンプル 建物レイアウト #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

 360度カメラは自撮り棒や三脚に取り付けて記念撮影用として使う方が多いようです。他にもホテルやマンションの室内を紹介するときなど、静止画や動画に収めると効果的かと思います。

 スマートフォンよりも小さなサイズなので、ポケットから取り出してボタンを押すだけ。面倒なピント合わせはなく、明るいところであればAutoモードで十分キレイに撮れます。

SNSに投稿してスマホでVR体験

https://www.facebook.com/campoutblog/posts/3458995170802078

 360度カメラで撮った写真はFacebookに投稿したり、LINEのトークで送ると、手軽にVR(バーチャルリアリティ)を楽しめます。VR用のゴーグルがなくてもOK。

2020年7月時点でTwitterやInstagramは360度写真(VR)に対応していません。アップロードしてもただの引き伸ばされたパノラマ写真になってしまいます。

 当ブログのFacebookページにサンプル画像を投稿してみました。スマホで見ていただくとRICOH THETAのVRがどんな感じかイメージ湧くのではないかと思います。

 ブログやホームページに360度写真を埋め込んだり、VR非対応のSNSに載せるときは、リコーが無償で提供しているアプリ経由でtheta360.comにアップロードします。

センサーが大きくなって高画質化

RICOH THETA Z1 サンプル 灯台と天の川 #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

 これまでのRICOH THETAシリーズは安価なコンデジと同じ1/2.3型センサーが採用されており、画質も正直それなりでした。Z1は一気にグレードアップし1型センサーとなりました。

 センサーが大きくなると多くの光を取り込め、高感度に強くなるため夜間撮影にも適しています。多少コントラストを調整してもノイズが増え過ぎず、それなりに星空も撮れます。

 1型は1/2.3型と比べ約4倍のサイズがあり、高画質デジカメSONY RX100と同じ。フルサイズほどではありませんが、コンパクトな全天球カメラで天の川が撮れていることに驚きです。

関連記事
RICOH THETAで360度を見渡す星空を撮影してRAW現像する方法
360度全天球カメラ「RICOH THETA」で星空を撮影する方法を紹介します。RAW形式で記録できるZ1はLightroomで明瞭度やかすみの除去などを行い、スティッチングプラグイン経由で出力することで天の川や夏の大三角などをハッキリ写し出すことができます。

絞り値を変えることができる

RICOH THETA Z1 サンプル 水平線に沈む夕陽 #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

 これまでのRICOH THETAシリーズは露出を決める3大要素の1つ、絞り値を変えることができませんでした。例えばTHETA SC2やTHETA Vはf2.0固定。

 THETA Z1は3種類の絞り値(f2.1、f3.5、f5.6)から自分で変えることができます。モードによっては自動的に適切な絞り値を選択してくれ、上の写真はf5.6でした。

 絞り値を制御できると被写界深度を調節してピントの合っている範囲やボケの量を調整できます。シャッタースピードやISO感度では適正露出にできないときにも役立ちます。

シャッタースピードが超高速

RICOH THETA Z1 サンプル 珊瑚のある海岸 #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

 普段使っているミラーレスはシャッタースピード1/8000秒が最速。それ以上はNDフィルターで減光させたり、絞ったりしないと露出オーバーになってしまい、写真が明るすぎて真っ白に。

 以前から使っているTHETA SCも最速1/8000秒ですが、THETA Z1は最速1/25000秒までいけるので屋外でも露出オーバーになりにくく、最も手軽なAutoモードでも失敗しにくく感じます。

ゴーストやフレアがかなり減った

RICOH THETA Z1 青空とダイビングスポット #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

 わざと強い日差しの下で撮影してみたのですが、エントリーモデルと比べゴーストやフレアがだいぶ減った気がしました。フレアはほとんど気にならず、ゴーストもごくわずか。

 手持ちのミラーレスだとND16フィルターを付けないと明るすぎる環境でしたが、高速シャッターも相まって減光させなくても写真が撮れました。色乗りもコントラストもしっかり。

まとめ

RICOH THETA Z1とTHETA SC

  • RAW形式で撮ってLightroomで加工するとき
  • ISO感度を上げて夜間に高感度撮影したいとき
  • シャッタースピードを上げて動きの速い動体を撮るとき
  • 絞り値を変えて被写界深度(ボケ量)を調整するとき

 フラッグシップモデル「THETA Z1」を使ってみて、積極的に使いたくなる撮影シーンは上記の4パターンでした。手元にスマホがなくても本体に設定値が表示されるのは便利です。

 画質重視のZ1は起動や連続撮影時の軽快さに欠けるため、明るい場所で気軽に撮ってSNSでシェアするなら、スタンダードモデル「THETA SC2」でも十分な性能がありますよ。

RICOH THETA SC2