11月に入ると関東でも最低気温が氷点下となることがあり、ワンポールテントや薪ストーブを使う人が増え、キャンプ場内の光景が徐々に変わってくる季節でもあります。
グループキャンプを準備していると「どんな服装で行けばよいか」や「暖房は持っていた方がよいか」など相談されることがあり、基本的な考え方を整理してみました。
冬キャンプを除く3月から11月まで、予想最低気温ごとに石油ストーブやホットカーペットの要否、テントやタープの選び方、あると便利なアイテムなどを紹介します。
この記事の目次
最低気温25℃以上
日中は猛暑、夜は熱帯夜。虫が多く、キャンプ場は混んでおり、総じて料金は高め。キャンプ中級者~上級者は場所や時期を変えるなどして、真夏を避ける傾向にあります。
夏休みの千葉県だと、成田ゆめ牧場ファミリーオートキャンプ場や森のまきばオートキャンプ場、一番星ヴィレッジなど、日陰が少なく標高の低い草原サイトが該当します。
真夏にドーム型テントは非推奨
地面からの熱をなるべく遮って、風通しを良くするかが寝心地を左右するため、キャンプ初心者向けとして販売されているドーム型テントは熱がこもりやすく非推奨。
高い天井と広い居住空間、側面のメッシュが多く遮光性能に優れた2ルームテントやスクリーンタープにコットを並べると、熱帯夜でも寝苦しくなく過ごすことができます。
クーラーボックスの性能が鍵
終日薄着で済むため、荷物が少なく積載に余裕があります。シュラフ(寝袋)はタオルケットや薄手のブランケットで代用可能。場合によってはバスタオルでもOK。
電源付きサイトであれば、首振り機能付きのサーキュレーターを持っていくと扇風機代わりとなります。市販のポータブル電源があると何かと便利かと思います。
真夏は生鮮食品が腐りやすいため、高性能クーラーボックスを強くおすすめします。デザインにこだわらなければ釣り用クーラーボックスの保冷性能が優秀です。
【キャンプの持ち物(例)】
- テント:2ルームテントもしくはスクリーンタープ
- タープ:遮光性に優れたコットン系の大型タープ
- シュラフ:タオルケットで代用
- 寝床:コット
- 電化製品:サーキュレーター
- 保冷:釣り用クーラーボックス
- 暖房:不要
- 服装:Tシャツ、ハーフパンツ、サンダル
最低気温20℃以上25℃未満
依然として虫は多いものの、夜になれば熱帯夜ほど蒸してはおらず、よほど暑さが苦手でなければ夏キャンプらしいプール遊びや川遊びを楽しむことができる気温です。
東日本屈指の人気を誇るキャンプ場、大子広域公園オートキャンプ場グリンヴィラやキャンプアンドキャビンズ那須高原の夏休みが該当します。
大子町 7月20日 |
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
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最高気温 | 34.3℃ | 31.6℃ | 32.7℃ | 35.0℃ | 29.4℃ |
最低気温 | 23.4℃ | 20.6℃ | 20.9℃ | 24.0℃ | 22.2℃ |
ドーム型テントでも過ごせる気温
最低気温が25℃未満になると、地面からの熱をマットで防ぎつつ側面をメッシュにすれば、キャンプ初心者向けのドーム型テントでも気持ちよく眠ることができます。
最低気温が20℃以上あると、テントの大敵「結露」はほとんど発生しない印象があります。日差しが弱ければシールドルーフ(ルーフフライ)を付けなくても大丈夫。
夏キャンプは通り雨に要注意
日中はスコールのような通り雨が発生しやすいため、タープを設営しておくと安心です。もしテントやタープが濡れても、翌朝晴れていれば午前中の早い段階で乾きます。
サーキュレーターがなくても困ることはほとんどありません。半袖Tシャツで1日中過ごせますが、念のため薄手のパーカーやシャツを持参すると良いかと思います。
【キャンプの持ち物(例)】
- テント:ドーム型テントや2ルームテント
- タープ:遮光性に優れたコットン系の大型タープ
- シュラフ:寝袋を開いて掛け布団代わりに
- 寝床:インナーテントもしくはコット
- 電化製品:不要
- 保冷:釣り用クーラーボックス
- 暖房:不要
- 服装:薄手のパーカーやシャツを持参
最低気温15℃以上20℃未満
徐々に虫が少なくなってくるものの、自然を活かしたキャンプ場と人工的な高規格キャンプ場で虫の数に大きな差があります。前者は多め、後者は少なめ。
タープがなくても過ごしやすいため、キャンプ初心者におすすめの気温です。梅雨入り前やシルバーウィーク前後は最低気温が20℃未満となることが多いと感じています。
大子町 9月20日 |
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
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最高気温 | 28.0℃ | 19.6℃ | 25.7℃ | 22.3℃ | 26.0℃ |
最低気温 | 14.3℃ | 16.4℃ | 16.7℃ | 14.0℃ | 15.0℃ |
朝晩過ごしやすい春秋のキャンプ
暖房器具や電化製品が不要なため荷物は少なく、真夏のような強力な保冷力も必要ありません。コールマンやイグルーのキャンプ用クーラーボックスで事足ります。
上着としてフリースや風を防ぐウインドブレーカーなど羽織れるものが必要となります。寒がりな方はウルトラライトダウンのような薄手の上着を持参ください。
【キャンプの持ち物(例)】
- テント:ドーム型テントや2ルームテント
- タープ:不要
- シュラフ:封筒型もしくはマミー型の寝袋
- 寝床:インナーテントもしくはコット
- 電化製品:不要
- 保冷:キャンプ用クーラーボックス
- 暖房:不要
- 服装:ネルシャツ、長ズボン、フリース
最低気温10℃以上15℃未満
虫が少なく焚き火が気持ちよい夜、我が家的キャンプのベストシーズン。低地のゴールデンウィークや高地のシルバーウィークが最低気温10℃以上15℃未満となります。
夜露が降りやすいため、タープを張らないと荷物が濡れてしまいます。寝るときは地面からの冷えをしっかり防ぐ必要があります。インフレーターマットが効果的。
暖房器具を検討しはじめる気温
我が家は最低気温が15℃を下回ると暖房器具を1つ持っていくようにしています。AC電源サイトであれば電気毛布、電源なしサイトであれば石油ストーブです。
この気温でホットカーペットを使うと、一番弱くしても暑すぎて眠れない可能性があります。電気毛布のほうが消費電力が弱く、安価で荷物もかさばらずおすすめ。
ホッカイロや湯たんぽも効果的
電気毛布も石油ストーブも持っていない場合、厚着+湯たんぽが効果的。緊急時にはナルゲンボトルにお湯を入れ、タオルを巻いて湯たんぽ代わりにすることもできます。
最低気温が15℃を下回るときは、ホッカイロを持っていくことをおすすめします。できれば貼るタイプと貼らないタイプ、それぞれ人数分あれば万が一のとき役立ちます。
【キャンプの持ち物(例)】
- テント:ドーム型テントや2ルームテント
- タープ:コットン系もしくはポリエステルのタープ
- シュラフ:封筒型もしくはマミー型の寝袋
- 寝床:インナーテントもしくはコット
- 電化製品:電気毛布
- 保冷:キャンプ用クーラーボックス
- 暖房:石油ストーブ、ホッカイロ、湯たんぽ
- 服装:薄手のダウン、厚手のフリース、ウインドブレーカー
最低気温5℃以上10℃未満
最低気温が10℃を下回るとキャンプ場から虫がほとんどいなくなり、ホッカイロや湯たんぽだけでなく、何かしらの暖房器具がないと厳しいと感じます。
我が家の場合、なるべくAC電源付サイトを選ぶようにしています。暖房器具は石油ストーブと電気毛布の両方を持参。石油ストーブなしならホットカーペット。
激しい結露との戦いがはじまる
最低気温が10℃を下回ると吐く息が白くなり、激しい結露との戦いが始まります。自宅用のガラス掃除道具を持って行くと撤収前に乾燥を促すことができるようです。
ポリエステル素材のシングルウォール(一枚布)は内側が激しく結露するため、シールドルーフやルーフフライを被せると、天井の結露を減らすことができます。
ポリコットンやコットンが役立つ季節
通気性の良いポリコットンやコットンは結露を大幅に抑えることができるため、ノルディスクやテンティピなど北欧のモノポールテントが増える時期でもあります。
屋外での焚き火も楽しめますが、寒さに弱い方はヘキサタープやレクタタープでは厳しいかも。2ルームテントやスクリーンタープに籠ると温かく過ごせます。
上着はダウンジャケットを持ち出し、ズボンはトレッキング用タイツ+ハーフパンツでは厳しくなるため、裏地が起毛素材のパンツかヒートテックのタイツを履きます。
サーキュレーターを空気循環に使う
この気温から再びサーキュレーターの出番。暑いときは扇風機代わりでしたが、寒いときは石油ストーブから出る暖気の循環と撤収前にテントを乾かすために用います。
意外と気を付けたいのがゴールデンウィーク。毎年シーズンインとなる方が一定数いますが、前年夏にデビューしたばかりの方は要注意。GWは想像以上に寒いです。
大子町 5月5日 |
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
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最高気温 | 24.0℃ | 24.7℃ | 27.3℃ | 24.0℃ | 26.4℃ |
最低気温 | 6.3℃ | 8.0℃ | 10.1℃ | 5.1℃ | 6.2℃ |
【キャンプの持ち物(例)】
- テント:2ルームテントもしくはポリコットンテント
- タープ:不要
- シュラフ:封筒型もしくはマミー型の寝袋
- 寝床:インナーテントもしくはコット+マット
- 電化製品:サーキュレーター、電気毛布、ホットカーペット
- 保冷:キャンプ用クーラーボックス
- 暖房:石油ストーブ、ホッカイロ、湯たんぽ
- 服装:ダウンジャケット、フリース、ヒートテック、マフラー、手袋
最低気温5℃未満
秋後半(11月)から春前半(3月)は最低気温が5℃未満となることが多く、装備の貧弱なキャンプ初心者にはオススメできない季節。鼻息まで白くなります。
地面からの冷えが一層強まり、霜が降りたり水が凍ることも多々あります。虫はほとんど見かけることがなく、放射冷却で氷点下になることも。
服はかさばり、暖房器具は増え、積載に余裕のあるクルマでないと厳しいかもしれません。薪ストーブが本領を発揮する気温でもあり、キャンプ場は空いています。
かなりの防寒対策が必要となる気温
必要な対策を取らないと寒くて眠ることができません。暖房器具は石油ストーブとホットカーペット、電気毛布を持参するようにしています。
2ルームテントにフジカハイペットやアルパカストーブ1台では心許なく感じるため、一酸化炭素中毒に注意しつつ暖気が逃げないように工夫すると温かく過ごせます。
大子町 3月25日 |
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
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最高気温 | 11.9℃ | 11.0℃ | 12.1℃ | 18.3℃ | 15.4℃ |
最低気温 | -2.9℃ | -3.3℃ | -4.1℃ | 1.6℃ | -3.6℃ |
【キャンプの持ち物(例)】
- テント:2ルームテント
- タープ:不要
- シュラフ:マミー型(できればダウン)の寝袋
- 寝床:インナーテント
- 電化製品:サーキュレーター、ホットカーペット
- 保冷:ソフトクーラーバッグ
- 暖房:石油ストーブ、ホッカイロ、湯たんぽ
- 服装:ダウンジャケット、スキーウェア、ヒートテック、マフラー、手袋
まとめ
キュレーションメディア等で「冬こそキャンプのベストシーズン!冬のテント泊って最高!」と見かけるのですが、春に始まり秋に終わるというのが一般的かと思います。
キャンプ初心者にオススメする季節は最低気温が10℃以上25℃未満。25℃以上の熱帯夜は暑苦しく如何ともし難く、10℃未満はそれなりの暖房器具が必要です。
南関東の平地に限っていえば、ゴールデンウィークからハロウィンまでが一つの目安かと思います。キャンプ道具や服装の準備に役立てば幸いです(^^)