富士フイルムXシリーズのインターバルタイマーは特殊仕様かも

FUJIFILM X-T3のインターバルタイマーを研究してみた

 カメラ本体に撮影間隔や撮影回数を設定し、自動的にシャッターを切ってくれるインターバルタイマー撮影。タイムラプス動画や流星群の撮影にとても便利な機能です。

 富士フイルムのミラーレス一眼(Xシリーズ)に搭載されているインターバルタイマーの挙動に疑問があり、実機であれこれ確認。少しイレギュラーな仕様かも?

2021年8月時点でメーカーの公式見解が見当たらなかったため、実機の検証から得られた私なりの推測です。あくまでも参考程度に見てください。

フジ機のインターバルタイマー

精進湖の湖畔にカメラを2台並べてタイムラプス撮影中

 事の発端は富士五湖の1つ、精進湖の他手合浜にNIKON Z6とFUJIFILM X-T3を並べ、夜中から朝方にかけて星景タイムラプス動画を撮っていたときのこと。

関連記事
朝方の凍りゆく精進湖でオートホーリーグレイルを試してみた
湖越しに見える子抱き富士と夜空に横たわる天の川を撮るべく、精進湖の他手合浜で星景タイムラプスを撮影。富士山の真上に天の川が昇り始め、徐々に湖面が凍って日の出を迎えるまでの変化をオートモードで撮る「オートホーリーグレイル撮影」を試しました。

 自動露出でシャッタースピードを連続的に変化(絞り優先オートで撮影)させていました。Z6は想定通りの動きだけど、X-T3は日の出前後の挙動が微妙におかしい。

撮影間隔とシャッタースピードの関係

富士フイルムのインターバルタイマー撮影をチェック

 取扱説明書や公式サイトを探しても、X-T3もX-S10も撮影間隔に関する詳細な仕様が見当たりませんでした。実機を用いて試した結果、上記No.1からNo.5の通りとなりました。

関連記事
型落ち値崩れで魅力アップ!富士フイルムX-T3を半年使って感じたこと
【機材レビュー】富士フイルムのAPS-Cミラーレス一眼「X-T3」を半年ほど使用した感想をまとめました。ダイヤル操作とレトロ風なデザインで所有感があり、キットレンズともども動画に強く、多彩なフィルムシミュレーションを楽しめます。型落ちで値下がりしお得感が増しました。
関連記事
ボディ内手ぶれ補正付きで軽量コンパクトなX-S10に買い替えた
【機材レビュー】富士フイルムのAPS-Cミラーレス一眼X-T3からX-S10に買い替えました。動画機としてはスペックダウンしましたが、ボディ内手ぶれ補正や低照度優先など使い勝手の良い機能が盛りだくさん。サブ機として軽量コンパクト化に成功し、屋外に持ち出しやすくなりました。

露光開始のタイミングがポイント

FUJIFILM X-S10のインターバルタイマー設定

 Sモードでシャッタースピード(SS)を固定しながら撮影間隔を変えたところ、No.1やNo.2の結果から「撮影間隔ごとに露光開始」している模様。

 No.3からNo.5は露光開始のタイミングで既に露光中のため、1回スキップされたように見受けられます。この結果だけだと、ニコン機と同じ仕様のように感じます。

2つの仕様が併用されているかも?

富士フイルムのインターバルタイマー撮影は不思議な挙動

 オートホーリーグレイルを撮るときは絞り優先オートにしてシャッタースピードを連続的に変化させるので、それをイメージして試した結果が上記No.6からNo.10の通り。

 No.4やNo.5の結果から得られた推測とNo.6やNo.7で得られた結果が一致しない。「露光中のため1回スキップ」の予想は正しくなく、異なる挙動をしている模様。

あまり見かけないインターバル仕様

X-S10やX-T4に搭載されている露出平準化

 結果から得られた推測ですが、以下のパターンで動作しているように感じます。もしこれが仕様だとすれば動画化したときFPS(フレームレート)がおかしかったのも納得。

MEMO
  • シャッタースピード>撮影間隔のとき「シャッタースピード+撮影間隔」ごとに露光開始
  • シャッタースピード≒撮影間隔のとき「シャッタースピード+撮影間隔」ごとに露光開始
  • シャッタースピード<撮影間隔のとき「撮影間隔」ごとに露光開始

 ニコン機のような「露光中のため1回スキップ」という仕様のカメラは多く見かけますが、シャッタースピードと撮影間隔の大小関係で動きが変わるのは珍しいかも。

まとめ

FUJIFILMの自動露出のポイントは低速シャッターの設定にあり

 富士フイルムのミラーレス一眼(Xシリーズ)のインターバルタイマー撮影機能は、前述の推測に基づいて正しく理解して使えば、何の問題もなく安定しています。

フジ機は絞り優先オートのときISO感度の上げ方とシャッタースピードの下げ方に癖あり。ISO感度を上げたくない場合は低速シャッター限界をAUTOではなく固定値にするのがポイント。

 もし自動露出で露光開始を一定間隔に安定させたい場合(他社で採用されている一般的な仕様にしたい場合)は、社外品のタイマーレリーズを使用するのが良いかと思います。

関連記事
ロワジャパンのタイマーレリーズを用いたインターバル撮影方法
【機材レビュー】ロワジャパンのタイマーレリーズ(リモートシャッター)は星景タイムラプスやスタートレイル撮影時に開始時間・シャッタースピード・待機時間・撮影枚数を指定する「インターバルタイマー撮影」に役立つ便利アイテム。簡単な使い方や設定の実例をあわせて紹介します。