クーラーボックスやソフトクーラーバッグの保冷力を比較&検証!カタログスペックだけではわからないリアルな断熱性能を実際に試して確認してみました。
価格と性能がおおよそ相関関係にあるといわれるクーラーボックスですが、ファミリーキャンプで使うなら「マックスコールドはコスパ抜群!ソフトクーラーバッグは想像以上に保冷力が高い!」という結論となりました。
この記事の目次
ここが知りたい!保冷力の違い
テントやタープと共に、キャンプにおける中核アイテムとなるクーラーボックス。どのクーラーボックスが本当に優秀なのか、条件を揃えて実験してみないと気が済まない!
- クーラーバッグの保冷力
クーラーバッグ vs ホムセンクーラー - 新旧メインクーラーの保冷力
マリーンウルトラ vs フィクセル - イグルーのクーラー比較
マックスコールド vs マリーンウルトラ - 最強の保冷力決定戦
釣り用クーラー vs キャンプ用クーラー
クーラーボックスやクーラーバッグの「保冷力の違い」に着目して検証するにあたり、上記4つの観点で順番に性能比較していきたいと思います。
保冷力比較の前提
本投稿作成時点で我が家の保有するクーラーボックスやクーラーバッグから、下記の5製品を用いて検証を行います。
略称 | タイプ | メーカー | 商品名称 | |
---|---|---|---|---|
1 | ホムセンクーラー | ハード | D2 | ICETOCH |
2 | マリーンウルトラ | ハード | イグルー | マリーンウルトラ30 |
3 | マックスコールド | ハード | イグルー | マックスコールド62QT |
4 | フィクセル | ハード | シマノ | フィクセルプレミアム300 |
5 | クーラーバッグ | ソフト | サーモス | ソフトクーラーバッグ20L |
- 保冷剤はセブンイレブンで販売されている「ロックアイス板氷1.7kg」を使います。
- 保冷力の違いは「溶けた水を捨てたあとの板氷の残量」で評価します。
- 特に断りのない限り「予冷ゼロ、常温」からスタートします。
- 風通しが悪く直射日光の当たらない子供部屋に放置します。
- 板氷の残量計測時のみ上蓋を30秒程度開け閉めします。
- 気温は概ね23℃~30℃、9月中旬に検証しました。
本来であれば業界内で統一基準が設けられていれば消費者にとってもわかりやすいのですが、現状では各メーカーが独自の測定方法で性能を評価しています。
1.クーラーバッグの保冷力
使わないときコンパクトに畳んで持ち運べるクーラーバッグは、日々の買い物でエコバッグ代わりになるなど使い勝手が良好!
柔らかい素材でできており、多少形を変えながら食材や飲み物を入れることができるのも便利な点です。
とはいえクーラーバッグは保冷力が弱く、アウトドアにおいては「あくまでもクーラーボックスの補助的な役割」という認識が一般的かと。
比較表 | ホムセンクーラー | クーラーバッグ |
---|---|---|
メーカー | アステージ | サーモス |
容量 | 25L | 20L |
断熱材 | 発泡スチロール | アイソテック |
実売価格 | 約2000円 | 約2000円 |
コールマンのスチールベルトクーラーのような本格的なクーラーボックスには到底敵わないとしても、あのサーモスが販売している以上はそれなりの保冷力があるはず。
ホームセンターで売っている安いクーラーボックスとはどの程度の性能差があるのか比較してみました。なおホムセンクーラーはケーヨーデイツーで購入したものです。
上の画像左がホムセンクーラー、画像右がクーラーバッグ。計測開始時点では共に約1.9キロあった板氷が、時間の経過と共に徐々に減っていきます。
板氷の残量 | ホムセンクーラー | クーラーバッグ |
---|---|---|
開始時 | 1933g | 1882g |
12時間後 | 951g | 1004g |
25時間後 | 0g | 55g |
保冷時間 (推定) |
約23時間 | 約26時間 |
今回の実験では先に板氷がなくなったのはホムセンクーラーでした。まさかクーラーボックスがクーラーバッグに負けてしまうとは…ホムセンクーラーが丸一日もたないことを含め驚きの結果です。
保冷力の違いを推察
なぜクーラーバッグがホムセンクーラーに勝利したのか。その要因を推察すると、おそらく「断熱材の違い」がポイントになるかと思います。
ホムセンクーラーの断熱材は発泡スチロール(発泡ポリスチレン)。素材として軽量・安価なため多くのクーラーボックスで断熱材として採用されています。
クーラーバッグの断熱材は複合断熱材アイソテック。ホムセンクーラーよりも圧倒的に断熱材が薄いものの、材質自体の性能差で保冷力をカバーしているといえます。
アイソテック5層断熱構造の高い保冷力が、冷たさと新鮮を運ぶ。保冷力に優れたポリウレタン(暑さ3mm)と発泡ポリエチレン(暑さ5mm)、ポリプロピレン不織布を汚れが付きにくい高耐久性素材の外生地とヒートシール加工の内生地でサンドした複合断熱材アイソテック(Iso-Tec)が冷たさをしっかりとキープする
出典:Amazon.co.jp
ホムセンクーラー不要論
今回の検証で得た結論としては「ホームセンターやドンキホーテなどで販売されている格安クーラーボックスは購入不要」ということ。さすがはサーモス、魔法びんのパイオニアとしての面目躍如といったところです。
前述の比較表の通り実売価格は約2000円とほぼ同じ。収納時のコンパクトさ、十分な保冷力、ソフトな素材の軽さ、買い物での使いやすさにおいてソフトクーラーの勝利!
サーモスのソフトクーラーバッグは大きさ違いで3種類が販売されています。今回の比較検証に使用したのは一番大きな20Lタイプですが、5L・15Lタイプも使い勝手は良好です。ぜひお試しあれ(^^)
2.新旧メインクーラーの保冷力
30リットルクラスはキャスター無しで持ち運べるギリギリサイズ。1泊2日のファミリーキャンプであれば1台で済むこともあるし、ソフトクーラーに飲み物だけ入れるということもあります。
我が家の新旧メインクーラー、イグルーのマリーンウルトラ30とシマノのフィクセルプレミアム300の保冷力を比較してみました。
比較表 | マリーンウルトラ | フィクセル |
---|---|---|
メーカー | イグルー | シマノ |
容量 | 28L | 30L |
断熱材 | 発泡ウレタン | 真空パネル |
実売価格 | 約6000円 | 約35000円 |
ほぼ同容量サイズながら価格差は約6倍。使用されている断熱材に大きな違いがあります。イグルーの表記では3日間、シマノの表記では90時間の保冷力です。
実際にキャンプで使うときは上蓋の開閉回数も多く、保冷剤以外の食材や飲み物がたくさん入っているため同じ結果とはなりませんが、純粋な保冷力を比較するとこれくらいの違いがあります。
真夏のキャンプでの実感としてはマリーンウルトラは翌朝には氷が解けきり板氷の追加が必要、フィクセルだと1泊2日の帰宅時まで冷えている状態です。
妥当な性能差!?
板氷の残量 | マリーンウルトラ | フィクセル |
---|---|---|
開始時 | 1908g | 1940g |
12時間後 | 1065g | 1308g |
25時間後 | 105g | 526g |
29時間後 | 0g | 349g |
35時間後 | 0g | 119g |
保冷時間 (推定) |
約27時間 | 約39時間 |
板氷が解けるまでの時間はマリーンウルトラが約27時間、フィクセルが約39時間と約半日ほどの差がありました。
マリーンウルトラに入れた板氷が順調に溶けていく一方、フィクセルに入れた板氷はなかなか溶けていきません。特に丸一日経ったあとの粘りが驚異的!
釣り用クーラーボックスの圧倒的な断熱性能により、庫内が一度冷えてしまえば長時間維持されるようです。価格差に見合う性能差かと聞かれると判断難しいのですが(苦笑)
とはいえ春や秋の1泊2日キャンプであればマリーンウルトラでも大きな問題はないと思います。側面が薄いとはいえ断熱材は優れた性能を発揮する発泡ウレタンです。
クーラーバッグとマリーンウルトラ
ここで一つの疑問が生まれます。イグルーのマリーンウルトラの保冷力って、実はサーモスのソフトクーラーバッグと大差ないのかも、と。
既に検証済みの通り板氷が解けるまでの時間はクーラーバッグが26時間、マリーンウルトラが27時間…なんと1時間しか変わりませんでした!
ソフトクーラーが20Lに対して板氷1枚、マリーンウルトラが28Lに対して板氷1枚という保冷剤の割合の差はありますが、価格差3倍と使い勝手を踏まえると改めてソフトクーラーの優秀さがわかります。
3.イグルーのクーラー比較
2泊3日のファミリーキャンプに最適なイグルーのマックスコールド62QT。サイズこそ大きいもののキャスターが付いており持ち運びやすく、車載に余裕があれば使い続けていたであろうクーラーボックスです。
比較表 | マックスコールド | マリーンウルトラ |
---|---|---|
メーカー | イグルー | イグルー |
容量 | 58L | 28L |
断熱材 | 発泡ウレタン | 発泡ウレタン |
実売価格 | 約7000円 | 約6000円 |
同じメーカーのマックスコールド62QTとマリーンウルトラ30の性能を比較してみました。イグルーの表記ではマックスコールドが5日間、マリーンウルトラが3日間の保冷力となっています。
板氷の残量 | マックスコールド | マリーンウルトラ |
---|---|---|
開始時 | 1945g | 1908g |
12時間後 | 1101g | 1065g |
25時間後 | 177g | 105g |
29時間後 | 42g | 0g |
保冷時間 (推定) |
約31時間 | 約27時間 |
板氷が解けるまでの時間はマックスコールドが31時間。フィクセル同様、丸一日経ったあとの粘りが素晴らしいです。
とはいえ板氷が溶けるまでの時間は約4時間しか差がありません。高性能クーラーボックスと呼ばれる割にはイマイチな結果に終わりました。
同一量の保冷剤による比較結果
これまでの検証結果をまとめると上記のグラフの通り。シマノの釣り用クーラーボックス「フィクセルプレミアム300」の保冷性能が他製品と比べ突出しています。
さすがに他のクーラーボックスとは値段が全然違うし、これくらいの結果が出てくれないと買った意味ないよねと一安心していたのですが…先ほどのマックスコールドとマリーンウルトラの比較で気になったことがあります。
4.最強の保冷力決定戦
なぜマックスコールドが高性能を発揮できなかったのか、なぜフィクセルに大差で負けてしまったのか推察してみると、断熱性能の違いもしくは内容量の違いが考えられます。
保冷剤の量を同一にして検証すると正確に判断できない「断熱性能の違い」を比較すべく、以下の条件に変更し更なる実験を行います。
フィクセル=30L=板氷1枚
マックスコールド=58L=板氷2枚
おおよそ30リットルに対して板氷1枚相当の計算となります。なお実験を始める前に30分ほど別の保冷剤を入れて予冷しています。
マックスコールド板氷2倍化
分厚いウレタンと真空パネルの断熱性能の違いを確かめるべく、保冷剤の量を調整して検証した結果…マックスコールドのほうが多く板氷が残ってしまいました!
同一量の保冷剤を入れるとフィクセルプレミアムの勝利、クーラーボックスのサイズに合わせて保冷剤を入れるとマックスコールドの勝利となりました。
板氷の残量 | フィクセル | マックスコールド |
---|---|---|
開始時 | 1870g | 3740g |
24時間後 | 593g | 1491g |
33時間後 | 188g | 664g |
保冷時間 (推定) |
約39時間 | 約44時間 |
全くもって予想していなかった結果に愕然。24時間経過時点でマックスコールドが約40%の氷が残ったのに比べ、フィクセルは約32%の残氷率でした。
マックスコールドが7000円、フィクセルが35000円とするとクーラーボックスの価格差は5倍。板氷1枚が350円として、クーラーボックスの価格差が28000円ということは損益分岐点はキャンプ80回程度。
我が家のように年間20回程度出撃するキャンパーであれば約4年ですが、年間10回程度であれば約8年、年間5回程度であれば…その頃にはクーラーボックスが壊れてるかも!?
まとめ
我が家の保有しているクーラーボックスやクーラーバッグ5種類の保冷力を比較・検証してみました。いくつか気付きがあったので羅列してみます。
- サーモスのソフトクーラーバッグの保冷力は、ホームセンターなどで売っている安価なクーラーボックスの保冷力より上だった。
- イグルーのマリーンウルトラとサーモスのソフトクーラーバッグはほぼ同じ保冷力だった。
- 同一量の保冷剤(板氷)を使うとシマノのフィクセルプレミアムが圧勝。特に冷えた状態を長時間維持することに長けていた。
- 単位体積あたりの保冷剤量をほぼ同一にすると、イグルーのマックスコールドが最強。
板氷2枚も入れたらクーラーボックスにあまり物が入らなくなるじゃん!という意見もあります。マックスコールドの底面に板氷2枚がキレイに入らないという欠点もありますし。
とはいえ容量に対して適正な保冷剤を確保すべきとは思います。マックスコールドの大きさだと板氷2枚もしくは板氷1枚+保冷剤2枚がベストかな、と。
クルマのラゲッジスペースに余裕があればマックスコールド62QTの1択、サイズが大きい分だけ保冷剤はしっかり入れておく。これが今回の検証で得た結論です。
今回の結果はちょっとショック!フィクセルプレミアムって35000円もしたのに、当時コストコで6000円くらいで買ったマックスコールドに敗北するとはorz