デジタル一眼カメラを買ったらキャンプ場で撮ってみたかった「星空ぐるぐる写真」。北極星を中心に数多の星が同心円状に広がる星空写真です。
2019年1月上旬の新月の夜、富士山近くのキャンプ場「PICA Fujiyama」に滞在し、インターバル撮影と比較明合成で初めて撮影してみました。
先人達の知識や経験をもとに必要な道具を揃え、カメラの設定を見直して2時間ほどで作成完了。完成するまでドキドキ、出来栄えはイマイチ(^^;)
この記事の目次
星空ぐるぐる撮影準備
出典:ゆるキャン△アニメ3話
星空ぐるぐる(北天グルグル)写真は主に2種類の方法で撮影されるそうです。デジタル一眼の主流は比較明合成らしく、大量の写真を画像処理して作成するとのこと。
- 長時間露光:シャッターを長く開くことで星が軌跡を描く撮影方法(バルブ撮影)
- 比較明合成:複数の写真の明るい部分を合成して軌跡のように見せる撮影方法
比較明合成と聞くとなんだか敷居の高そうな作業ですが、ゆるキャン△のなでしこ風に言うと「大丈夫!撮って(ソフトに)ぶちこんで待つだけだもん!」な感じでした。
バルブvsインターバル
ある程度星を回転させようとすると、長時間露光だと30分以上シャッターを開くことになるため、その間に少しでもぶれてしまうと失敗になるリスクがあるらしいorz
飛行機が頻繁に飛び交う富士山周辺だと、一定間隔で点滅していることがハッキリとわかる人工的な線が写りこんでしまい、撮影後にレタッチするのも難しいとのこと。
途中でクルマが近づいてくるとヘッドライトの影響を受けてボツになったり、バルブ撮影での星空ぐるぐる写真は聞けば聞くほどカメラ初心者には成功する気がしない(^^;)
撮影に適した条件
比較明合成するときに使うインターバルタイマー撮影(等間隔で写真を撮る方法)でも、以下の条件を満たせば満たすほどキレイな星空ぐるぐる写真が撮れるようです。
- 雲が少ない
- 風が弱い
- 月明かりが弱い(なるべく新月)
- 周囲が暗い
- 飛行機が少ない
- 視界が開けている など
上2つはある程度運にも左右されるかと思います。日取りを決める月の明るさは月齢カレンダーで、場所を決める周囲の暗さはLight Pollution Mapで確認可能です。
あったら便利なレンズヒーター
カメラや三脚など普段の星空撮影で使うアイテムに加え、気温の下がる夜に長時間撮影するときはレンズが曇らないよう結露対策。レンズヒーターの出番です。
モバイルバッテリーに接続するレンズヒーターが安くて便利かと思います。レンズの周りに巻いて温めれば夜露による結露を防げます。安いホッカイロは効果なし(^^;)
撮影手順メモ
出典:ゆるキャン△オープニング
三脚にカメラをセットし、レンズヒーターを巻いてモバイルバッテリーに接続。レリーズケーブルやストラップ類をテープで固定したら準備完了。
富士山近くのPICA Fujiyamaで撮影する理由は「富士山の上で星が回っている星景ぐるぐる写真」を撮りたいから。NIKON D7500と単焦点レンズ2418Gで挑戦です。
ゆるキャン△のオープニングで富士山と時計回りの星空ぐるぐるが登場しますが、北半球で見える日周運動は反時計回りが正解。なぜ逆回転で描いたのか気になる(^^;)
カメラの設定を変える
カメラごとに設定項目は異なりますが、D7500だと以下のように変更しています。撮影の度に設定が自動で変わりそうなものをオフにするイメージです。
- オートフォーカスをオフに
- モードをマニュアル(Mモード)に
- ISO感度をマニュアルに
- 絞り開放もしくは少し絞る
- シャッタースピードは10秒前後
- ピクチャーコントロールを風景に(お好みで)
- ホワイトバランスをオート以外に
- 長秒時ノイズリダクションをオフに
- アクティブD-ライティングをオフに など
普段はRAW+JPEGで撮っていても、比較明合成の場合はJPEGオンリーで良いかと思います。RAW現像の手間がかかるし、そもそもSDカードの容量を食いますしね。
無限遠にピントを合わせる
星空撮影ではオートフォーカスを活用する機会は少なく、レンズのピントリングを少しずつ回して無限遠にある星にピントを合わせるマニュアルフォーカスが基本かと。
ファインダーではピント合わせが難しいので、ライブビューで最大まで拡大表示(D7500だと約17倍)し、星が点になるように慎重にピントを合わせます。
自分は1等星より少し暗い2等星にピントを合わせることが多いです。冬だとオリオン座が1等星2つ、2等星5つと明るい星ばかりで、簡単に見つかるかと思います。
北極星の向きにあわせる
星空ぐるぐる写真の中央にある北極星は、富士山周辺だと真北の仰角35度前後の位置にあります。現在の北極星はこぐま座のポラリス(2等星)です。
スマートフォンに星空アプリをインストールし、カメラの液晶画面とスマホをピッタリ重ね合わせてポラリスを画面中央に入れると、簡単にカメラの向き合わせができました。
数枚試し撮りする
ピントと向き合わせが決まったらレリーズケーブルもしくはリモコンで数枚撮影してみます。ここで構図(風景との組み合わせ)を確認しホワイトバランスなどを微調整。
前述の設定で調節していなかったのがISO感度。場内の明るさなどにより最適値が変わるため、試し撮りをして画像をチェックし100~400くらいにします。
星空ぐるぐる写真は後ほど比較明合成するため、1枚1枚の写真にハッキリ星が写っていなくても大丈夫です。目安は2等星が写っていれば問題ないかと思います。
インターバル撮影で放置
ピントがずれないようにインターバルタイマー撮影を設定します。先ほどシャッタースピードを10秒にしていたので撮影間隔は15秒に設定。今回はISO100です。
10秒シャッターを開いて5秒休むの繰り返しを300回。1分間に4枚撮れるため1時間15分ほどかかります。焚き火でも囲みながら気長に待ちましょう(^^)
専用ソフトで比較明合成
たくさん写真が撮れたら、パソコンに取り込んで専用ソフトで合成します。星空ぐるぐる写真にピッタリなフリーソフト「SiriusComp」を使わせていただいています。
ドキドキワクワクしながら比較明合成を待つこと5分、初めての星空ぐるぐる写真の出来上がり。ついでにタイムラプス(動画)も出来上がります。
撮影途中で飛行機が横切ってしまったため、カラフルな線が写り込んだ3枚を探して抜き出し、残りの297枚で再び比較明合成したのが完成品です。
初撮影における反省点
写る範囲があまりに狭すぎた
撮影に使った単焦点レンズ「AF-S NIKKOR 24mm f/1.8G ED」はAPS-C機だとフルサイズ換算で36mm程度の画角。出来上がり写真を見て一言、写る範囲狭すぎorz
比較明合成が終わるまで、どの程度の大きさで写るのかわからなかったのですが、フルサイズ換算36mmだとこんなにズームアップされてしまうんですね…
いずれ星空と風景を共に写す星景写真を撮るとなると2418Gでは明らかに画角が狭すぎる。フルサイズ換算20mm以下の超広角レンズでないと難しいのかも(^^;)
モバブーの残量が早々に尽きた
レンズヒーターを巻いて結露を防ぐことはできたものの、1時間15分の連続撮影においてモバイルバッテリーの残量が途中で尽きてしまったようですorz
標高1,000mの寒さだと電池の減りが普段よりも早く、電気を熱に変えるレンズヒーターの性質上、5,200mAhの小型モバイルバッテリーだと容量不足でした。
寒いとき1時間以上レンズヒーターを使用するなら最低でも10,000mAh以上、できれば20,000mAh以上の大容量モバイルバッテリーをおすすめします。
アイピースキャップを付け忘れた
今回だけに限らず頻繁に忘れてしまうのですが、ファインダーから余計な光が入り込まないようにする「アイピースキャップ」を付け忘れてしまいました。
焚き火しながら待ちましょう。とか本気で撮るならありえないですね…周囲の明るさが撮影途中で変わるので。比較明合成なら暗い写真が無視されるだけではありますが。
自動画像確認でバッテリー消耗
撮影後に自動的に画像が表示される機能をオフにし忘れました。撮影するたびに画像が表示され、それを繰り返すこと300回している間にバッテリーを消耗しました。
試し撮りで構図や明るさを確認できたら、インターバスタイマー撮影時に画像確認は不要なので、オフにしておくとバッテリーの消耗をかなり抑えることができます。
そもそも撮る場所を間違えた
- PICA Fujiyama
- 富士山
- キャンピカ富士ぐりんぱ
富士山と星空ぐるぐるを1枚に収めたいのに、富士山に向かって上下左右くまなく探しても北極星が見当たらない…目印になるはずのカシオペア座すら見当たらないorz
やっぱり高規格キャンプ場だと場内が明るくて無理だったか…と思い、振り向いた瞬間、目の前に北斗七星がドーン。あーもしかして小学生レベルの勘違いをやってもうた(^^;)
PICA Fujiyamaは富士山の北側にあるキャンプ場。富士山と北極星を撮るならキャンピカ富士ぐりんぱのような富士山の南側のキャンプ場にいないとダメだったww
まとめ
初めて撮った星空ぐるぐる写真。ロケーションを間違えて風景がない構図で撮ることになり、何とも微妙な写真になってしまいました。上の写真左が合成前、右が合成後です。
- それなりの三脚が欲しくなった
- いわゆる超広角レンズが欲しくなった
- 星空と景色がキレイなキャンプ場に行きたくなった
ポラリスが動いたということは途中でぶれてしまったのか…と残念な気持ちになりましたが、調べてみると北極星って中心から少しずれているんですね!色々と勉強になりました。